C.A.P.10th-証言:北畠 愛(きたばたけ あい)
1979年生まれ。 神戸市兵庫区在中。
高校卒業の時は、獣医さんになりたくて農学部を目指していたのですが、家族に「絵を描いてる時が一番楽しそう」と言われ、自分もそう思ったのでスパッと諦め、一浪していきなり美術の方面を目指すことにしました。美大のこともよくわからないまま受験し、入学式前日まで京都にあると思い込んでいた、成安造形大学(滋賀)の洋画クラスに入学。4年間通いました!神戸→大阪→京都→大津の『四都物語』でした。卒業後CAPのメンバーになりました。一旦、就職したものの、制作との両立が難しく一か月でやめ、バイトをしながら制作をはじめました。最近は制作とはちょっと離れていますが何か思い立ったらのんびり作ったりしていこうとおもっています。今はそんなかんじ。
 
1)CAPの活動に参加した当時の様子
初めてCAPの存在を知ったのは、2000年の4月末、学校においてあった『メビウスの卵展』のDMでした。「なんか変わってるなあ、面白そう。どこなん。」と思い地図を見るとなんとけっこう自宅と近くて学校の帰りに行ってみることにしました。4月29日7時半頃の閉館ちょっと前だったと思います。外観は今とそう変わりない建物を見て、すごく素敵だなあ〜、と思った記憶があります。入るやいなやいきなり作品らしきものがありました。「誰か〜」と見回しましたが人はいなさそうでとりあえず2階へあがり、廊下や中庭や階段の雰囲気にわくわくしながら歩きました。海側ギャラリーとその奥の今の赤いじゅうたんの(ガムランのある)部屋だったとおもいます。入って勝手にいろいろ触りながらひととおり楽しんでそろそろ帰ろうかな、と階段を下りるとそこへちょうど赤い顔ですっごいニコニコした男の人がリビングルームから出てきて声をかけられました。「全部見られました?他の部屋も見ました?」「卵展は見ました。他の部屋ですか…?」と答えると「ここはね、部屋全部入ってもらっていーんですよ!!!時間大丈夫なら一緒に行きましょかあ!!」このものすごいハイテンションな人は?…と思いながらもペースにつられ彼のあとについてもう一度見にいくことに。さっき一人で見てよく分からなかった展示もその人が説明してくれたり一緒にやってくれたりしてさっきよりももっと楽しんで見れました。それから各作家さんの部屋をまわりました。もう時間も遅かったので部屋に作家さんはいなかったのですが、想像できてしまうくらい「この作家さんはこーゆー人で…」といっぱい話してくれました。藤本由紀夫さんの部屋を見せてもらっていた時です。タイプライターの『love』という作品だったでしょうか、なんだろう…とじーーっと見ているとしばらくしてその人が「loveってかいてあるんですよ。なかなか気付かなかったりするもんなんですよね。」といわれました。それでなんだかいっきに何か自分の中で私なりに解決したような、「あ…」と言葉にならないけど涙が出そうになって「すごい瞬間や!」って思いました。あとで「あの時、”感動”したんや」と思いました。

 それからCAPルームだとかも案内してもらい建物の歴史や代表の杉山さんのこと、去年11月にボランティアの人たちが集まって大掃除をしてスタートしたこと、190日間という限られた期間での活動でもうすぐ終了してしまうことも聞きました。不思議だけどなぜか初対面なのに自分の制作で悩んでたこと、考えてることなんかをすごく素直に話せて、またその人も自分のことを話してくれて答えてくれてすごく心か満たされるそんな貴重な時間をいただきました。もう閉館時間をとっくに過ぎているのに「いいんですよ、僕も楽しかった、いい時間が過ごせました。」とやっぱりニコニコされていて駅まで送ってくれました。こんな近くにこんな交流の場所があったのかあ、と感動の一日でした。初めてCAPHOUSEに行ったその日のことはきっと忘れないと思います。その方は内村一志さん(”ベンジャミン内村”ですかね)。映画を作ってはる方でした。残念ながら今はCAPにはいらっしゃらないですが…。

 その後は190日間最後ゴールデンウィークに行われた『Welcome to CAPHOUSE』に参加しました。再び内村さんに会えたし作家さんもいっぱいいました。各部屋に手作りの名刺にたいなのやDMをひとつづつもらって
受付で配られた分厚いクリアホルダーアルバムに集めていきました。今も大事にとってあります。もっと早くに知っていればよかった、と惜しむきもちでいっぱいでした。すごくCAPHOUSEが生き生きしていました。

 それから11月にまた活動が再スタートするということで、その頃の写真友達で現在CAPの主要メンバーにである
嘉納さんを誘って写真を撮りに行きました。その日初めて潤井さんと的場さん(旦那さんの方)と会いました。そこで渡辺さん含む女の子たち(ドットコム娘)が歌って踊っている映像を見せてもらったりして「え?あの管理人の女の子?!」とびっくりしたのを覚えています。帰りに当時リビングルームの入り口にあった受付で渡辺さんにカフェをすすめられせっかくだしとコーヒーを飲み、カフェの美人なお姉さん(今はどなただったかわかりません)がサービスで柿をむいてくれました。季節はもうすぐ冬でしたがあったかいCAPHOUSEでした。

2)CAPに参加した(メンバーになった)動機
卒業間近、研究生として大学に残ろうかどうしようかと考えていた時に久々にCAPHOUSEにいきました。行ってみて、初めてここに来た日を思い出して、年齢もジャンルも異なるいろいろな人がいっぱいいて色んな人が来るこの場所で自分のペースで制作もしつつできる範囲で何かができれば、と思いました。当時フリーペーパーを共に制作していた岸本さんともう一度下田さん、藤本さん、杉山さんに話を聞いてそのことを相談しました。「有名ですごい作家さん」という変な先入観からかなり緊張しましたが、話を聞いていると初めて内村さんに聞いたのと全く同じでここにいる人はみんな気持ちが一緒で上下もなにもなく色んな人たちが交流できる場を作って行こうとしてるんだなあ、と感じました。動機、というきっかけがメンバーになる前にあったというわけではないのですが初めて行った時からどこかで考えて
あたためていたのかもしれないです。