2012年9月24日

9/22 はなしの旅 第五回「不規則な月」を終えて

高濱浩子さんの「はなしの旅」。高濱さんが振り返ってレポートをしてくれました。写真は、はなしの旅スタッフの中村友梨香さんです。

第五回はなしの旅レポート 2013/01/24

はなしの旅 第五回「不規則な月」
高濱浩子が野生をテーマにゲストを招き、ともに過ごす一夜
9/22 はなしの旅 第五回「不規則な月」を終えて
・・・・・・・・・・・・・・・文:高濱浩子 写真:中村友梨香(はなしの旅スタッフ)

今回のゲストは身体表現者のやんぢゃです。
やんぢゃはこの夏、先祖に導かれるように始祖の地、韓国居昌(コチャン)のフェスティバルに招かれました。帰ってきたばかりのやんぢゃに大切な旅の話をうかがえる機会をいただきました。
「人は何処へかえっていくのだろう?」と思いつつ。
DSC_0501.JPG
当日、いつも通りみんなで買い出しをすませ、午前中から食事や会場の支度に取りかかります。今日のメニューはやんぢゃの好きなヒジキ入りのチヂミやクッパやナムルなど、ごま油の香りでいっぱいです。メニューは料理担当の紀子ちゃんが毎回ゲストの好物を取り入れながら予算内で考えてくれています。テンポエスカルゴのかごさんは漆のように光る「月の実」、そしてやんぢゃの言葉『からっぽのカラダ』から「空殻」という素敵なお菓子を創作し用意してくれました。お土産用のリーフレットは、八月から九月にかけて韓国にいたやんぢゃと東北にいた私の、ひと月の往復メールを紙にし、柿色の糸で綴じ半紙で包みました。デザインは伊勢田雄介君。製本は受付担当のゆきちゃんが仕上げ、迎え入れの準備が整いはじめました。アンケート用紙は毎回ゆきちゃん手描きの心が和むイラストが添えられています。
DSC_0540.JPG
4時半になりました。お客様を迎え入れ「不規則の月」がはじまります。
飲み物コーナーには、河野さんと蒼くんがいつものように立ってくれています。今日もシモダさんが音響を担当してくれます。映像の山口さんは2台のカメラを設置してくれています。
今日のお客さんは幼稚園児やら小学生もいるので、大人相手のようには行きませんね。楽しみです!
DSC_0587.JPG
海に沿う廊下でパフォーマンスがはじまりました。音楽はJerry Gordon。メロディのないサックスの音とやんぢゃの身体が交差したり離れたりします。まるで時空を泳ぐ海の生き物みたい。
DSC_0520.JPG
今回はローソクの火を中心に輪をえがいて座ることにしました。
DSC_0617.JPG
話は居昌へ向かったことからはじまりました。始祖の地は海から離れた小さな川が流れる山間部の町だったそうです。細い路地、小さなリンゴの木の下のダンス、先祖の家が残っていたこと。移動する旅をはじめて見えてきたもの、からだひとつで表現する様になっていった話もうかがいました。時のなす技に逆らわず変化する。形を持たないやんぢゃは、まるで水のようです。
DSC_0633.JPG
会も終盤です。ローソクの火でみんなの顔が少し赤く見えます。
Jerryさんの音を合図にやんぢゃが席を立ちました。ローソクはこだましているように形を変えていきます。
さっきまで横で微笑んでいたやんぢゃの姿が消え、名前のないカラダが立っています。
DSC_0654.JPG
DSC_0656.JPG

ローソクの火が吹き消され、音が止み、静かな一瞬をむかえると、やんぢゃがにっこり微笑んでいました。
こどもたちはすっかり「やんぢゃ踊り」と言ってくねくね体を動かしています。むずむずむずむず踊り出したかった大人もいたに違いありません。今度はみんなで踊りましょうね!
話が終わり、食事を終え、あっこさんが作ってくれたお月様と星の形のスイートポテトを囲み、すっかり夜も更けました。
今日はこれでおしまいです。

(後記)
やんぢゃとの対話は、彼女の住む町、大阪此花に流れる川沿いのカフェではじまりました。クチナシの濃密な香りがする蒸し暑い雨の日でした。何処へ向かうでもなくお茶をし、先祖や両親のこと、旅のこと、住む町のことなど、お互いメモを取りながらトークイベントのタイトルを二人で探って行きました。「男の人は、たとえばトークでもタイトルをちゃんと決めて、それに向かって行く。でも女の人はそんなの必要としなかったりする。女は落としどころがないその過程を楽しめる気がする。迷うことはネガティブな事ではないから、迷っても大丈夫なんよ」迷うから辿り着く場所があると彼女は付け加えました。そんなやりとりが「不規則な月」というタイトルへとつながっていきました。

shimoda 03活動日誌
コメントしてください