■杉浦隆夫&マスダマキコ ちょっと変わった遊びの提案
10月20日(土)15:00〜18:30
(16:00までレクチャー 16:15よりワークショップ)
ゲスト:杉浦隆夫(美術家)
ホステス:マスダマキコ(造形作家)
参加費:当日1000円/予約900円(おかし付き)

杉浦隆夫さんとは、ごくたまにしか会わないのに不思議と芸術的スタンスの同じ人だと感じています。今回は、CAP HOUSE内で同時期に開催している「マスダマキコ遊びの博物館」展に杉浦隆夫さんに道場破り的に参入していただこうかと考えています。杉浦隆夫さんの作品は、様々な素材や表現形態を使いながらも、じんわりとしかし深いところで私たちの日常生活に揺さぶりをかけてきます。そのスタイルには、ブレるところがありません。「造形、美術、芸術がごく普通の生活と一続きのところで、何か普段気付かないことに気付かせてくれるようなこととしてあって欲しい。
そんな仕掛けを仕組めたらいいと思っています。芸術らしからぬこと、しかしそこにしか帰着しえないようなことを考えたいと思っています。」という今回のリビングルームへの意気込みの言葉にはとても共鳴するところが多く、そのままいい感じでバトルできればと思っています。…マスダマキコ
《ゲスト》杉浦 隆夫(美術家)
1963年愛知県豊橋市生まれ。豊橋市在住。
1985年、初個展後、各地のギャラリーや美術館などで個展、企画展などを開催。
2005年、兵庫県立美術館での発泡スチロール粒で満たされたプールに鑑賞者が体ごと埋まり、埋められた館蔵の彫刻作品に触れて鑑賞する、「みんな手探り」は、話題を呼んだ。


《ホステス》マスダマキコ(造形作家)
'94年C.A.P.当初からの数少ないメンバーのひとり。'99年からはCAP HOUSEを拠点に、子ども・遊び・アートをテーマにしたワークショップを自身の作家活動としておこなっている。ワークショップのスペシャリストとして、これまで7回行われたアート林間学校では人気講座を数多く企画してきた。こども土曜クラブのお世話係であり、参加者の子供だけでなく、C.A.P.メンバーにワークショップの楽しさを伝えている。当日はCAP HOUSEギャラリーにて個展を開催中。

■杉浦隆夫&マスダマキコ ちょっと変わった遊びの提案

 まずは、スライドショーで杉浦氏の作品紹介から。2005年の兵庫県立美術館での発泡ビーズに埋って彫刻作品に触れて鑑賞する作品「みんな手探り」の写真やお話し、その作品の初めの展示だった京都の廃校になった小学校でのエピソードなど参加者もかなり興味深く聞き入っていました。さらに「埋まる」や「息の交換」の作品のどれもシンプルな発想をいかに効果的にじっくりとやり遂げてしまうかというあたりに、杉浦氏の「過激さ」と「ぶれなさ」を見た気がします。
 そのあと簡単にマスダの近年のワークショップなどの写真を見てもらって、ワークショップバトルへ。といっても戦いの様子は全くなく、非常に和やかなムードでまずは杉浦氏のワークショップの原点ともいえる「三菱鉛筆を組み立てる」をやってもらいました。
 参加者は、まず1ダースの三菱鉛筆とカッターを渡されて鉛筆削りを始めます。芯を折らないように注意して、芯部分と穴あきの鉛筆を組み立てていきます。25年前のキットも登場して、削りに削った鉛筆を「組み立て」て段々と大きなオブジェにしていきます。折れないかと息を呑む作業をしているうちにすっかり参加者はスリリングな杉浦ワールドにはまっていました。
 途中お菓子やレモングラスのお茶なんかも飲んで気分をほぐして次はマスダ部屋へ。2階の海側ギャラリーに展示中の「ハンギングネスト」という作品に植毛していってもらいました。2層の段ボールの骨組みが、渦巻き状になってぶら下がり、そこに紙や原毛や毛糸などを植え込んで行ってもらいました。一人づつの小さな作品も作り、大人も子供も結構「植毛」にはまっている様子が面白かったです。杉浦氏とはうって変わって気の抜けるような時間にのんびり浸っていただきました。

短時間ではありましたが、ワークショップでしか味わえない作家の面白さを満喫してもらえたのではないかと思っています。
《ホステス》マスダマキコ(造形作家)