2012年7月13日

8/19(日)CAP STUDY 3「ビブリオテーク208.ext〜移動美術資料室がCAPにやって来る!」第3回:美術と電話


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画像:"Art by Telephone"(Museum of Contemporary Art, Chicago, 1969)

CAP STUDY3
「ビブリオテーク208.ext〜移動美術資料室がCAPにやって来る!」
第3回:美術と電話
2012年8月19日(日) 15:00〜18:00
講師:森下明彦(メディア・アーティスト、美術・音楽愛好家)
参加費:500円/【要予約】 
電話という最も日常的だが不可思議なメディアを、美術の視点から考えてみます。1969年開催の展覧会、「電話による美術」(シカゴ現代美術館)のレコード製のカタログを中心にします。

ちょっと前まで携帯電話を持たなかった私は、持たないのは何故かをしばしば問いつめられたり、何か主義主張をお持ちかと尋ねられたりした。別に理由もないし、まして主義主張などあろうはずがない。何となく持たないままで来てしまった、というのが真相。持たないことでどなたかにご迷惑をかけたことも多々あるかもしれませんが、持たない当人にはそのために困った、という経験がほとんどなかったからです(だから、案外なくても済むものかもしれません)。

さて、私が子どもの頃は携帯電話は存在せず、いわゆる固定電話でさえ、それほど普及していませんでした。お隣につないでほしいといった形で、いわば共有されていたこともあります。電話が家庭と社会とをつなぐメディアであることの証しとして、電話が玄関に置かれていた家も多かった(だから、隣人が使うにも差し障りがなかった)。

そして、現在。正に様変わりです。

今回は概念芸術の勃興期へと戻り、そうした電話というメディアにアーティストが差し向けた視線を取り上げます。「電話による美術」展は、あの「態度が形式になる時」(ベルン・クンストハレ、その他)と同じ年に開催されています。この展覧会は、また、カタログの形式という点で類例を見ないものです。つまり、書籍ではなく、レコードなのです。出品作家には、シア・アルマジャーニやジェームズ・リー・バイヤーズ、ジョン・ジョルノ、ヴォルフ・フォステルといった異色なメンバーもいます。

その他、美術と電話に関わる資料が並ぶ予定です。当然ですが、「電話による美術」展の開催のきっかけになったと言うモホイ=ナジ・ラースローの実験、「電話絵画」についても触れる予定です。

また、誕生当時の電話の使い方への注目に始まり、現在の携帯電話を巡る論考に至るまで、電話はメディア論の対象としてしばしば論じられてきました。眼に付いたものをご用意いたします。


資料リスト:
"Art by Telephone"(Museum of Contemporary Art, Chicago, 1969)----------残念ながら音質が良くないことをご了解下さい。

『視覚の実験室 モホイ=ナジ/イン・モーション』(神奈川県立近代美術館葉山、ほか/2011年)

鈴村和成『テレフォン――村上春樹、デリダ、康成、プルースト。』(洋泉社/1987年)
逓信博物館監修『日本人とてれふぉん 明治・大正・昭和の電話世相史』(NTT出版/1990年) 
吉見俊哉、若林幹夫、水越伸『メディアとしての電話』(弘文堂/1992年)
若井登、高橋雄造編『てれこむノ夜明け ――黎明期の本邦電気通信史――』(財団法人電気通信振興会/1994年)
森下明彦(メディア・アーティスト/美術愛好家)
フリーで美術と映像に関する研究を続けながら、美術資料室(神戸市)の開設公開を準備中。
また、国立国際美術館客員研究員として「中之島映像劇場」という名称の映像上映会を企画。

「caper7月号」のピックアップ記事 「ビブリオテーク208.ext〜移動美術資料室がCAPにやって来る!」今年度の開催に向けて。」はこちら、全10回分の日時、テーマ一覧はこちら、C.A.P.のニュースレター、2011年「caper6月号」のピックアップ記事「Bibliotheque 208主宰、森下明彦インタビュー」はこちらです。
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