2013年7月18日

8月のcapture Y3 アトリエアーティスト;柴山水咲


4月半ばからCAP STUDIO Y3の公開アトリエに参加しはじめた柴山水咲さん。同時期に仕事のこともあって神戸に引っ越してきました。寡黙な人ですが、自分のペースを作りながら、力強く淡々と制作に打ち込む姿は見ていて清々しく感じます。今回のcaptureでは柴山さんをご紹介します。

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公開アトリエで制作を始めて       
美術家 柴山水咲

思いがけず、山と海があるこのまちに住むことになり、坂の上のアトリエで制作を始めてから3ヶ月程になります。環境の変化の影響は、真っ先に私の身体に現れました。私が頭の中で、このまちの地理や、人や気候を理解しようとするよりもずっと早く、私の身体はこのまちを知り、応えようとしたようです。今では坂道を歩いていると、かかとからふくらはぎにかけての部分が、何かを考えているようにすら思えてきます。自分の身体が何も意図せずとも変化していく様子は、不思議であり、恐ろしくもあり、また自分の知らない自分に気づかされるようでもあります。こうした身体の変化は日常の所作をも変え、今までにない手つき、表情、足取り、ものとの関係性や体内時計まで、新たに調律されていくようです。

 そして今の私は明らかに、3ヶ月前の私とは違うことを考えています。時々自分はあまりにも不誠実なのではないかと思うくらい、身体だけでなく、考えることも変化していきます。おおげさに言えば、この変化、流動性、速度の中でしか、私は生きられないように思います。

 最近の作品では予めルールを設定した上で、ルールを破りながら制作を進めていくことが多くなりました。極端で滑稽にも思えるようなアイデアから作品を作り始め、その都度バラバラにして、ひとつひとつ確かめ、また新たな総体を作り上げていく。その途中で、何か重大なこと、懐かしいような、ずっと前からそこにあったのに知らなかったこと、今の自分が気づかなければいけないことに、ふと辿り着く。描きたい世界も大好きなモチーフもない私が、それでも作品を作るのは、自分はまだ何もわかっていないような、自分には致命的に何かが欠けているような、そんな乾きがあるからかもしれません。

 こんなにもきらきらした、爽やかな風が吹き抜けるこのまちで制作をしてゆけば、きっとこれからもたくさん、私は思いがけないことに気づいていくのだろうと、今からわくわくしています。

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柴山水咲
1988 滋賀県近江八幡市生まれ
2013 京都造形芸術大学大学院修士課程芸術表現専攻修了

主な展覧会
−グループ展
2011 ドローイングコミュニケーション Nov 2011(名古屋造形大学 愛知)
2013 修了制作展(京都造形芸術大学 京都)

−個展
2012 「いつか湖になる」(尾賀商店倉庫ギャラリー 滋賀)
    「光る衣」(アートスペース虹 京都)



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