C.A.P.10th-証言:塚脇淳

1996年忘月忘日、TOMOSアトリエ
 壁には短針と長針だけの時計が埋め込んである。どうやって電池を入れ替えるのだ、そうか長い延長コードを埋めたのか、どこだどこにあるのだその電源は、ふーむ、なかなかスマートでカッコいい。
 真中に大きな作業机が置いてある。10人ぐらいが囲むように座っている。その机の上の大きなスイカの絵皿が目に飛び込んでくる。制作途中の色鮮やかな色彩のキャンバスが置いてあるが、それよりスイカが凄い。
 何を話したか憶えていない。こんなとこで何ができるんだろうか。実感がない。町の表面から震災の影響はほとんど消え平静をとり戻している。外はビジネス街と瀟洒な店の並ぶ街。ここはどこだ。
 下田、藤本、杉山、赤松、砥綿、江見、松本、谷口といったメンバーだったと思う。ほとんど40代、知らない人たちばかりだ。なんだか居心地が悪いぞと思いつづけていた。
 けれども終わりに出てきたケーキや食べ物は一味違っていて、これが神戸かと妙に感心した。何を食べたか憶えていない。けれども食べながら、この集会が、何か重要な集まりである事は感じていた。