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2005/4/16-5/29
NEW HEAVY 5人の彫刻家による提案「自覚する鉄」

<関連イベント>
■4月16日(土)15:00〜
「オープニングイベント;サトル・タカダ‐時の記憶‐パフォーマンス」
出品作家の一人であるサトル・タカダ氏が自ら制作した鉄のアームとトロッコを操作して、床に流したコンクリートの上にドローイングを行います。ダイナミックなライブドローイングを是非ご覧ください。
パフォーマンス終了後にオープニングパーティーを予定しています。是非ご参加ください。

■4月30日(土)13:00〜
「ワークショップ」
鉄の作家による作品制作のデモンストレーションを約1時間行います。普段は工場のようなアトリエで行う作業で、なかなか間近に見る機会のないデモンストレーションです。
鉄についてのなるほどが見学だけでも充分に感じていただけると思います。どんどん見学に来てください。
デモンストレーションの後は作家の指導のもと、実際に鉄の加工を体験してください。鉄で自分の作品をつくることに挑戦してみるワークショップです。
海崎三郎氏はガスバーナーを使って鉄を溶かし刻々変化する鉄の表情を、阿部守氏は鉄板や鉄線をコークス炉で焼いて鉄を鍛えることのおもしろさを、塚脇淳氏は鉄を曲げて鉄の柔軟さを見せてくれるでしょう。
ワークショップは参加できる人数に限りがありますので、できるだけご予約ください。

●おとなも子どもも楽しめる鉄の造形ワークショップ 15:00〜
定員:12名 対象:小学校高学年以上 参加費:無料
※汚れてもよい作業用の服装と運動靴を必ず着用してください。
※13:00前に会場に起こしください。デモンストレーションを見学していただいた後に、ワークショップを行います。

■5月1日(日)13:00〜
「スライドレクチャーとシンポジウム」
5人の彫刻家それぞれの今までの活動や作品について、スライドを上映しながら話してもらいます。
また、休憩をはさんで座談会「NEW HEAVYをめぐって 神戸・鉄・表現」を行います。NEW HEAVYのタイトルの意味するところや、震災と復興、そして神戸とこの展覧会はどうつながるのか、またNEW HEAVYについて作家はどのように表現をとらえるのか、芦屋市立美術博物館学芸課長の河崎晃一さんを司会に迎え話し合います。予約不要、参加費無料です。是非ご参加ください。


文化は多様でなければならない。さまざまな表現がさまざまなレベルで行なわれ、深められなければならない。「NEW HEAVY」はこの考えに立脚し、彫刻という表現に焦点をあてる。
ここに集う五人の彫刻家に共通する素材は鉄である。しかし、鉄を通して身体と労働の意義が芸術化してゆく過程はそれぞれ違っている。そもそも制作は、イメージと現実の間で実感としての人間性を求める行為であり、思考する身体と芸術のアイデンティティーを求める行為であるからだ。彫刻は作家の身体の化身といえるだろう。環境にせよ社会にせよ人間にせよ、私たちは自らの向かうべき方向を、現実を直視することによって、ものが持つ抵抗に拮抗することによって探ってきたのではなかっただろうか。表現においても、ものの本質に迫ろうとしてこの原初的な考えやあり方に沿って探求しつづける作家は少なくない。このような探求の姿勢と意味を、私たちは「NEW HEAVY」と名付け、鉄と関係の深い、そしてあの大震災から立ち上がった街神戸から発信する。


阿部 守
私と鉄を結びつける大きな存在は、火である。自作のコークス炉を使っての仕事は金鎚と金床を用いた、素朴な作業そのものである。露天の作業場は他人からすれば、只の空き地にしか見えないだろう。しかし、火の仕事をしている時、そこは、私にとって精神の鍛錬場であり、解放区にも感じられる。制作の原点である鉄に関わるには、体と気力の充実が不可欠である。鉄に語らせるのではなく、鉄の表現を引き出させて貰っていると言った方が、私の制作姿勢を表せている。鉄はそんな存在である。鉄を「接着剤」に、神戸で5人の作家が集う。CAP HOUSE にどんな空間が出現するか、接着剤の「鉄」でヒトとヒトを繋げたい。
1954年 東京生まれ/1983年 今日の日本美術−ジュネーヴ‘83・ジュネーヴ市立歴史美術博物館・ラート美術館(スイス)/1985年 第21回今日の作家展・横浜市民ギャラリー(横浜)/1987年 国際鉄鋼彫刻シンポジウム・東田高炉記念広場(北九州)/1990年 BOGLAND SYMPOSIUM・ウィクロー山中(アイルランド)/1995年 第7回バングラデシュ-アジア美術ビエンナーレ・オスマニ記念ホール(バングラデシュ)/1997年 Innenseite〜平行ドクメンタ・カッセル旧警察学校他(ドイツ)/2001年 個展・Pitt Rivers Museum:University Museum(オックスフォード)/2002年 個展・福岡市美術館(福岡)/2003年 Lulea Sommar Biennal・ノルボッテン公園他(スウェーデン)/2004年 ART BELOW SEALEVEL−International Beeldhhouwers Symposium・キンデルダイク世界遺産地区(オランダ)/2004年 個展・熊本市現代美術館(熊本)

大槻 孝之
私が鉄に惹かれる理由は、鉄自体の中に血の通った温かさ、熱を感じるからであり、そこに私自身の血と汗と時間をいくら注ぎ込んでも、十分に応じてくれる素材だからだ。また、先史の時代から鉄と人は深く関わり、長い歴史を紡いできた。鉄はとても身近で親しみのある存在なのだ。鉄と向き合い関わり合うことで、現実の空間の中に鉄の持つ熱や時間を引き出し、彫刻としての新たな鉄を表現していくことが出来ればと思う。鉄の町、神戸を発信地として。
1957 茨城県に生まれる/1981 ルナミ画廊(東京)/1984,91 安田火災美術財団奨励賞展(東郷青児美術館)/1986,90,97 愛宕山画廊(東京)/1989 現代茨城の美術展(茨城県近代美術館)/1997,99,03 雨引の里と彫刻(茨城県大和村)/2000 「彫刻家たちのリトグラフ展」(ギャラリーOM、横浜)/2004 ギャラリーGAN(東京)

海崎 三郎
鉄はひとりでに鉄になるのではなく、人の手によっていくつもの行程を経ながら鉄という名と形を獲得していく。私は逆の道筋をたどりながら鉄からもう一つの鉄を生みだしたいと思っている。それは自分にとって鉄のポテンシャルを問い直すと同時に外側と内側という空間意識、そのどちらでもない“あいだ”という領域に鉄を持ち込んでみたいからである。彫刻という世界にしか存在しない素材学。そんなことを夢見ているときに、神戸でNEW HEAVYに出会った。
1952 福井県に生まれる/1990 第2回長野県佐久大理石彫刻家シンポジウム(小海リエックス、長野)/1991 ねりまの美術‘91-彫刻の現在-(練馬区立美術館、東京)/1996 体感する美術‘96<アーティストと考える>サバイバル・ツール(佐倉市立美術館、千葉)/1997 第2回雨引の里と彫刻(大和村、茨城) 以後毎回出品/2000 「彫刻家たちのリトグラフ展」(ギャラリーOM、神奈川)/2001 ART DOCUMENT 2001 福井の美術ナウ 森から町へ(金津創作の森、福井)/2002 An Exhibition of Contemporary Japanese Printmaking(ペンタラムギャラリー、バンクーバー)/2003 TUKUBA現代美術の磁場2003展(茨城県つくば美術館、茨城)

サトル・タカダ
私の今回の作品についてその考えとイメージの源泉を探る事がしいては私のアイデンティティーを見つめる事になると思う。時の記録は個人的な断片を集める事から自分史を編集するようなものであり、現代美術にとって主流な表現である。鉄とコンクリートの素材は自分の生の時間と同時間を共有出来るものである、故に表現媒体として過去のものではない。コンピュ−ターの時代にイメージの肥大化が容易であり現実感との隔離の中に実感としての人間性を求める為彫刻の存在がある。今回の展示について考える時、神戸市の由緒ある建造物の内部空間で私の時の記録を発表する機会に恵まれインスタレーションとパフォーマンスをしてみたいと思った。
1943年 東京生まれ/1983年 埼玉美術の祭典で大賞受賞/1984年 埼玉近代美術館彫刻広場で個展/1988年 青森EXPO88青函博記念現代野外彫刻展出品/1989年 第6回ヘンリームーア大賞展、美ヶ原高原美術館賞受賞/1990年 美濃鵜加茂彫刻シンポジウム参加/1991年 福岡、飯塚市モニュメントコンペ大賞受賞/1992年 大阪彫刻トリエンナーレ、特別賞受賞/1993年 第15回現代日本彫刻展、埼玉近代美術館賞受賞/1994年 さいたま彫刻バラエティ、草加文化会館賞/1997年 雨引の里と彫刻展/1998年 韓国プサン国際彫刻シンポジューム招待制作/2002年 韓国プサンビエンナーレ招待制作/2003年 台北市交通省パブリックアート、コンペ2等賞受賞/2004年 オーストラリア、Sculpture by the sea 参加

塚脇 淳
私はこの展覧会が鉄の新しい何かを提示するのではなく、どちらかといえば、鉄を使って基本的なものを再構築する場、あるいは再確認しあう場になればと思う。そのことによって、私たちが遠い記憶の奥底においやった大切なもの、しかし厳然として私たちの生活の根幹を支えるものとして存在する鉄という素材を目の当たりにすることができるのではないだろうか。そのことの意味を、今ここで、あえてNew Heavyという言葉で代表し、表出できればと思う。
1952 京都府生まれ/1980 スチュワート・ジョセフと2人展(アメリカンセンター・京都)/1983 第5回エンバ賞美術展 優秀賞受賞(エンバ中国美術館)第16回現代日本美術展(東京都美術館) 第10回現代日本彫刻展(宇部野外彫刻美術館)/1984 アート・ナウ‘84(兵庫県立近代美術館)/1986 第1回三田彫刻コンペティション大賞受賞/1987 第3回本郷新賞受賞、札幌彫刻美術館で個展/1994 芸術祭典・京「京を創る」三栖閘門プロジェクト/1998 アーティスト・イン・レジデンス(BEMIS Center for Contemporary Arts,USA)/2000 インターナショナルアートフェスティバル(Pusan,KOREA)個展(KCAL,尼崎市)/2001 鉄はたたくものだったプロジェクト(CAP HOUSE,神戸市)/2002 プサンビエンナーレスカルプチャープロジェクト(Pusan,KOREA)/2003 個展 西宮市大谷記念美術館/2004 4人展「直感の十字路」茶屋町画廊(大阪)
2003年 ・ 2004年 ・ 2005年

(C)2002-2004 CAP HOUSE プロジェクト • 特別非営利活動法人「芸術と計画会議(C.A.P.)」