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●11:00〜20:00/火曜日休館 ●〒650-0003 神戸市中央区山本通3丁目19-8 ●caphouse@cap-kobe.com ●TEL,FAX 078-230-8707

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「CAP HOUSE便り」vol.7 藤本由紀夫

今回ご登場いただくのは、サウンドアーティストの藤本由紀夫さんです。藤本さんは、94年にCAPをスタートさせた11人のアーティストの中の1人です。喜怒哀楽をほとんど表に出さず、一見冷静そうに見える藤本さんですが、実はなかなか過激な意見の持ち主! さまざまな場面で味を引き締める「CAPのスパイス」としての役割を担ってくれています。

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■大阪からの小旅行
私は現在、CAP HOUSE4階の廊下を挟んだ南北の2部屋をアトリエとして使用しています。今や数少なくなったCAPの創設メンバーである私にとって、CAPが10年以上持続して活動していることが奇跡のようであり、ましてや現在のような活動拠点を構えるとは夢にも思っていませんでした。
大阪に住んでいるため、アトリエは大阪にあるのですが、CAP HOUSEのプロジェクトがスタートしたのを機に、週2〜3日は神戸に通って制作活動をしています。大阪と神戸は電車でたった30分ほどしか離れていないのに、街の雰囲気はガラッと変わるので、今でもCAP HOUSEに来るたびにちょっとした旅行気分になります。

■CAP HOUSEの四季
私の南側と北側のアトリエは、雰囲気がまるで違います。明るい南側の部屋は、神戸の街が一望でき、ポートタワーや海上に浮かぶ船の姿が、小さく見えることもあります。それに対し北側の部屋は、直射日光が差し込むことはなく、窓の外には閉鎖されたままになっている「旧神戸移住センター」の北棟の壁がそそり立ち、ひっそりと落ち着いた空間となっています。その北棟の壁一面を覆っているツタは、晩夏には大きな葉が生い茂り、壁一面を緑一色にしていますが、秋になると徐々に紅葉していき、秋の終わりともなると、夏には緑一色だった壁が赤色の壁に変わります。そんな秋の日の午後は、陽光が北棟の壁に反射して私のアトリエに差し込み、部屋を赤く染めるのです。初めてその模様を目にしたときは、とても感動しました。しかし、そんな感動的な秋の日はすぐに過ぎ去り、やがて葉は1枚1枚と枯れていき、冬には枝だけの姿となって建物の壁の素肌が現れます。この寒い寒いCAP HOUSEの冬が過ぎると、ようやく小さな若葉が目に付くようになってきます。
このように、毎年四季の変化を目にしながらアトリエで制作していると、CAP HOUSEが自分の「家」のような気持ちになってきます。全国各地での展覧会やアートプロジェクトに出向くことが多い昨今、それらの予定が終了し、久しぶりにCAP HOUSEにやってくると、なんだか家に帰ってきたようなほっとした気分になります。

■CAP HOUSEは「家」?
先日、茨城県取手市および東京芸術大学、そして市民が主体となって毎年開催している「取手アートプロジェクト(TAP)」に参加していることから、実行委員会のメンバーとの打ち合わせのため、取手市に行ってきました。若い意欲的なメンバーが多く、白熱した打ち合わせはなかなかまとまらず、時間ばかりが過ぎていきました。打ち合わせ会場での予定時間が過ぎてしまったとき、メンバーの1人が「続きはキャップハウスでやりましょう!」と言ったので、私はびっくりしてしまいました。実は私の聞き間違いで、メンバー数人が借りている一軒家の1階のリビングルームを仕事場や集会所としており「TAP HOUSE」と名付けていたのです。TとCの違いだけであり、おそらくCAP HOUSEに影響されて名付けたに違いありません。CAP HOUSEに「家」のイメージを抱いているのは、私だけではなかったようです。

 


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