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2005/7/1-18
Acte Kobe Project 2005

裏日記 2005年7月7日 龍谷大学セッション

HIROSだべ。
■昨日のコンサートは、なかなかに変化に富んでいて楽しめました。角さん及び彼のダンサー美女軍団もすごく頑張っていました。田中峰彦さんや、CAPマルガサリの飛び入りもえがった。まあ、こんな感じで充実した日々は過ぎて行くのでありますが、ワダスの下腹部膨満感が軽減されればもっとシアワセなんだけど。とはいえ、昨日ほぼ絶食したので今日はかなり調子がいいでっせえ。さて今日は、飛び入りに、コントラバスの中島氏と民謡歌手の安曇野めぐ留さんもやってきそうです。すごいことになりそう。安曇野さんは、伊藤多喜雄さんという有名な民謡歌手の娘で、4月に一緒にちょこっと演奏させてもらった実力者。てなわけで七夕の今日はいかがあいなりますものか、楽しみダベ。
■昨日の続き--5日龍谷大学セッション
 例によって、三宮駅でパスカルを拾い、4仏人宿舎のエウルビルへ着いたのはちょうど10時でありました。普通の雨が普通に降っている普通の梅雨の日なのでした。この日は、ワダス以外すべて仏人。目くりくり感動少女的中年パスカル女史、沈着冷静中年的少女頭領マガリ女史、タランティーノ的風貌オリヴィエ、のっそのっそ重厚コントラバス奏者クリスティアン、元料理人剽軽打楽器奏者ジャンピエール。皆が乗り込むと、めいめい菓子パンなどを口にする。隣に坐るクリスティアンは、口をモゴモゴさせつつ、中味のアンコの素材について質問。「豆だ」と答えると、「アー、ダコー、豆か」とまた口をモゴモゴさせた。
 ふかふかシート、カーナビつきのパワフル8人乗り、エルグランドは快調にわれわれを乗せて雨の高速道路を走る。カーナビの操作はもはや完璧。大津市瀬田のターゲットをしっかりとらえていた。乗り込んだときに表示された到着予定時間は11時22分。この到着予定時間は走行状況に応じて計算し直してくれるという優れもの。
 車内は、5仏人の仏語会話がますます激しさを増してうるさい。ほとんど意味を解せぬワダスは職務に専念し黙々と車を走らせるのでした。渋滞もまったくない。到着が早すぎるので、大津のサービスエリアでコーヒー休憩。目の前に広がる琵琶湖を見てみな、おーっ、と叫ぶ。「ミシシッピみでなす」と遠くで航行している遊覧船を見てパスカルがいう。「こごは京都てねながす。前に来てねよなす」とオリヴィエ。
 12時に、山の中に突然現れる龍谷大学瀬田キャンパスに到着。社会学部の青木恵里子教授と駐車場で落ち合い、とりあえずランチ。「学生食堂よりもちょっと高めだけど、味はちょっとまし」というRECの食堂に案内されたのでした。渋く深い茶色タイル張りの低層建築群を見たパスカルは「あれれー、イタリアの大学みでだ。落書きが一つもねえ。たまげだ。こごで仕事してみでもんだなす」と感想を申し述べる。
 われわれは、教職員らしい人々が摂食している食堂ではなく、隣接した特別室に案内される。マガリ、オリヴィエ、パスカルがてんぷらそば定食、ジャンピエール、クリスティアンとワダスがすっぱあーい純菜食和風冷麺でした。どうでもいいけど。例によってパスカルは天ぷらに歓声を上げる。オリヴィエとマガリは、モヤンモヤン(まあまあ)といいつつ摂食。クリスティアンは食物をじっくりと検分しつつ慣れない箸で麺をつつき、おそるおそる口に入れる。表情はあまり冴えない。ジャンピエールに「どうだべ。んめがす」と聞くと、「ウィー、セ・ボン」と慣れた箸さばきで麺と野菜をつまむ。ここの勘定は青木先生が払ってくれたのでした。
 食堂出口の喫煙コーナーで食後の一服。静かな山の中なのに、屋外スピーカーからやたの音量の多い音楽ががんがん鳴り響く。学生による昼休みの放送でした。これが本当にうるさい。クリスティアンは「なんだべ。この騒々しさは。うるさえんでねえが」と一言。それを聞いたジャンピエールは「まあ、こんなもんだべ」と肩をすくめる。
 今日の会場である学生交流会館のメインスタジオに楽器を運び準備。この建物は学生が管理している。正面が水色のガラス張りなので、屹立する水泳プールといったおもむきのモダンな建物の地下がスタジオ。絨毯の敷かれたスタジオはがらんとしてかなり広い。ほぼワダス専用に近いiBookを教務課から借りてきて、テーブルに設置。プロジェクターと接続し、移動式スクリーンにパパローン特製映像を投射した。めまぐるしく動く凝った映像は1時間もあるので、それをマガリにオンオフをしてもらって10分間に縮めることにした。Macに慣れないマガリは、変なボタンを押したりしてちょっと手間取ったが、本番ではばっちりでした。
 スタジオ中央に、コントラバス、パーカッションセットを配置。今日はクリスティアンの発案で、学生がわれわれを取り囲むようにした。
 そうこうしているうちに、3限のチャイムがなった。しかし、学生はぽつぽつとしか入ってこない。授業で何度も予告していたのに彼らは忘れてしまったのだろうか、とふと不安がよぎる。しかし、3時10分の4限開始のチャイムがなったころ、続々と学生たちがやってきてスタジオはほとんど埋まってしまった。150人くらいか。中にはドラムスティックをもった学生もいた。
 まず、ワダスが5仏人を紹介し、アクト・コウベについて解説。学生たちは無表情だ。まず、パパローンの映像に合わせてクリスティアンとジャンピエールが演奏開始。最初はなんだなんだ表情をしていた学生たちは、クリスティアンのジャズっぽい作品を3人で演奏するころには顔がほどけてきた。ドラムスティックをもっていた学生にジャンピエールのもってきたブリキ缶を渡そうとしたら、「いや、ちょっと」と尻込みする。ついで、打ち合わせなしの即興を20分ほど。最後にバールの曲を演奏。
 質問コーナーでは、「どうやって即興できるのか」「なんで即興なのか」「なんで即興を始めたのか」などなかなかに本質的な質問がきた。クリスティアンは「オレは音楽でしゃべってんなよす。言葉じゃ伝えられないごどば音でやってんなよ」などと答える。
 無事セッションが終わり、片付けをし、楽器を車に積み込んだ後、青木先生の研究室でコーヒーとお菓子をごちそうになった。青木先生は学生の相談があるのでと部屋にはいなかったが、われわれは勝手にパイプ椅子をバルコニーに持ち出し、小雨の中で歓談なのでした。コーヒーを入れてくれたのは、キーボードを演奏するという美しい大学院生の坂口青年。彼は今日、楽器を持ってきて乱入するはずだ。
 6時過ぎにキャンパスを後にしました。帰りも渋滞なしでした。ワダスが、三宮の安い寿司屋にいくべ、といったらみな興奮。パスカルは、アルベルトに連絡しなきゃという。リチャード・ドレイファスとダスティン・ホフマンを足して二で割ったような雰囲気の出下腹アルベルトからは、ランチをとっているときにいきなりワダスのの携帯に電話しきていた。「友だづに携帯もろた。これからはこれで連絡できる」と番号を知らせてもらっていた。車中でマガリが「ワダスの携帯、音がなんねす」という。運転しながらチェックしていると、5仏人が「ぎゃー、運転に集中してけろ」と叫ぶ。結局、アルベルトと三宮に落ち合うという連絡に成功し、7時15分ころ無人のCAP HOUSEに到着。楽器を降ろしてすぐさま三ノ宮駅前に行き、レンタカーを返却。8時が返却制限時間だったのでなんとか間に合いました。
 アルベルトと合流し、駅南にある「ごん太」へ。カウンターしかなく、8人坐ればいっぱいになる店内はびっしりの満員でした。6仏人とワダスは店内の狭い壁際で立って、先客の摂食終了をじりじりしつつ待つのでした。
 ようやくマガリが坐る。ワダスは全員のために「上にぎり赤出しセット」(819円)を注文していた。すぐさま目の前に寿司と赤出しが出てきたのでマガリが摂食開始。それをじっと見ていたクリスティアンがいう。「オレ、これ、キャンセルしていいべが。エビだけにしてけろ」。といううちに彼の前に席があき坐ってもらい、店員に「この人には、上にぎりはキャンセルしてけろ。その代わりにエビ二つと卵焼き、カッパ手巻きにしてけろ」と申し述べる。そうこうしているうちに、パスカル、アルベルト、オリヴィエ、ジャンピエールが並んだ席に座り、目の前に差し出された上にぎりを食べ始めた。オリヴィエは、感極まった声で親指を突き上げ「最高ダベ」と叫ぶ。パスカルとアルベルトが無言で口を動かした後、親指をたてる。先に終えたワダスは、仏人たちの後ろを泳ぎ「あとは何食うが。注文手伝うがら」という。アルベルトは「大丈夫だ。オレは知ってる」とメニューの絵を店員に示して次々に注文。
 すっかり食べ終わったマガリが店の外でタバコを吸っていた。「えがった」と一言。側のクリスティアンは「エビえがった。んでも、オレ、魚嫌いなんだよ。すかだねす」と諦観的表情で店内を見ていた。不幸なクリスティアン。
 てなわけで、寿司を満喫した仏人たちとそこで別れ、ワダスは帰宅。後で聞くと、彼らはあの後元町近くのガード下の飲み屋へ行ったらしい。元気か仏人たちだ。


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