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CAPARTY vol.21「第5回 アート林間学校」 感想

「はかるとわかる、はかりかた」

平田隆行@和歌山大学システム工学部+稲地秀介@神戸大学自然科学研究科

実測して図面にすることは、自由に絵を描くこととも、風景を写しとることとも違う。大きさ、位置を明確にして描くこととは、「ものの関係性」を描くことにつながる。大きいものは大きく、小さいものは小さく、どこから見たかは考えずに、ひたすら客観的に描いていく。

フィリピンの山奥で毎日実測をしていた頃、運搬手段もお金も電力も無いから測量器具は使えない。5mのメジャーを使って手当り次第に測っては、図面を描き込む人間スキャナー。でも、この地道な作業がものを言う。自分の体でトレースしてその場所とうまく関係を取り結ぶことができるようになってくる。

この講座で目指したのは、身近な環境を客観的に測る技、身体と数値の両方でものの大きさをつかむ感覚だ。

体の寸法を測り、身体比例を知り、その数値をオリジナルメジャーに書き込んで、人体寸法のついたオリジナルメジャーをつくる。次に歩幅や尋(両手を広げた長さ)を使って、建物の大きさを測る。つぎに、30cm物差しだけを使って、建物の高さを正確に測る。最後に、身体寸法の比例関係を利用して、30cm物差しで電柱の高さを測る。

9歳からおじいさんまで幅広く集まった会場では、簡単な講義から、実際にメジャーを使っての計測、そして建物の高さや大きさを、なんとか知恵を出して測るトライアル、そしてレーザー実測機をつかった「正解発表」。わいわい測って、答え合わせをして、二時間はあっという間に終了。意外にも小学生たちの出してくる数字が正解にとても近くて私たちもびっくり。

参加してくれた人たち、子どもたちが、この技を使って、自分の住むマンションの高さを測ってみたり、庭の大きさを測ってみたり、街路樹の高さを測ってくれたとしたら、とってもうれしい。身近な環境を科学的かつ感覚的に「はかり」、そのことでその環境のことが「わかる」、そんな「はかりかた」を持ち帰ってもらえたならば・・・。


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