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「CAP HOUSE便り」vol.8 下田展久

「CAP HOUSE館長、下田です!」

今回は、CAP HOUSEの館長、下田展久さんの登場です。下田さんは、ポートアイランドにある音楽ホールのディレクターを10年間勤められ、美術系アーティストの集まりだったC.A.P.に、ミュージシャンが加わるきっかけを作ってくれました。アーティストたちのわがままを形にしてくれる下田さんですが、実は彼自身、CDも出しているミュージシャンなのです。

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■前は会社員
11年前のこと、サウンドアーティストの藤本由紀夫さんが「現代美術の作家が集まっておもしろい話をしているので、ちょっと来ませんか?」と誘ってくれました。仕事で知り合い、信頼していた藤本さんが「いい人たちだ」というのでご一緒したのですが、これが僕とC.A.P.との出会いでした。それから3年後にC.A.P.のメンバーとなった僕は、さらに4年後、会社を辞めてCAP HOUSEの仕事をすることになったのです。

■さらに難しい仕事
C.A.P.ではいろいろなプログラムが行われています。みんなのアイデアを実現に向けて進めるのが僕の仕事、といったところです。以前は音楽ホールの企画・制作の仕事をしていたので、イベントの段取りには慣れていたはずなのに、ここでのイベントは禁じ手だらけで大変です。なにせ「アーティストが集まって、何もないビルで活動したら何が生まれるのか? 実験して確かめてみよう」ということで、「計画を立てない」ということだけ決めてスタートしたのがCAP HOUSEなのですから。
さすがに今はちょっぴり計画的になりましたが、メンバーの心にはCAP魂が生きています。僕の立場としては「これも修行」と思うしかないようです。

■例えば
例えば、ワークショップを真夏に連続9日間やる「アート林間学校」。みんなでアイデアを出し合うのですが、さすがアーティストというか、先のことを考えていないかも? というか、こちらがハラハラすることが多々あります。
「鉄を熱いうちに打とう!」とか「土を野焼きにする」とか、さらに「プールって作れるの?」(これは代表の杉山さんの講座ですから)。タイトルを聞いただけでびびるような講座が、24も集まってしまいました。これは2001年のことですが、今年のアート林間学校では、37の講座が集まりました。この「アート林間学校」、まだ拡大伸展を続けていくのでしょうか? やはり、これも修行です。

■ロンドンの作家
先日、一度CAP HOUSEに立ち寄ったことのあるロンドンの作家からメールが届きました。「CAP HOUSEで制作させて欲しい。仕事に切りをつけて日本に行く」という内容でした。本当に来るつもりなのか? どうやら英国のアーティストも、思考回路は同じのようです。
結局、彼はしっかりと作品を作り、展覧会まで開催して帰っていきました。すっかり仲良くなったみんなでサヨナラパーティーも開きました。そして今年、「ロンドンにCAP HOUSEみたいなところを作ったので、誰か来ない?」と彼から連絡が来たのです。「トラムデポット」というそのスペースに、今度はC.A.P.から作家が一人参加して、展覧会を開催してきました。今後も何か一緒にできそうで楽しみです。

■ソテツ
これまでに知り合った人たちとの間で、ほかにもいくつかの話が自然に始まっています。どれももうからない話で、会社という組織であれば、まず実行はされないでしょう。でも、なぜかこんな話にワクワクしませんか?
CAP HOUSEの流儀は、テンポが遅かったり効率が悪かったりすることもあるでしょう。でも、植物がゆっくりと持続的に、そして太陽に向かって明るい方向へ伸びてゆくのと、どこか似ている気がします。
CAP HOUSEの玄関でソテツが実をつけました。「ほお!」と思い、拾った実を持ち帰ってアロエの鉢に置き、そのまま忘れていたら、いつの間にか発芽していました。ソテツは何百年も育つそうです。僕がいなくなったあとも、CAP魂から、何かがソテツのように育っていくことでしょう。



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