2011年8月16日

9/4(日)トルコ音楽コンサート

オスマンの古典音楽、トルコの民俗音楽、歌、器楽。貴重な音楽会になります。是非ご予約下さい

〈トルコ音楽 コンサート〉

*アブドゥルラッハマン・ギュルベヤズ氏インタビュー「トルコ音楽の魅力
・・・・それ以前のことを言えば現在のイラクにあるバグダードが世界の音楽文化の首都だったのです。(アポ)

2011年9月4日(日)19:00〜 トルコ音楽コンサート

出演:
トゥラン・ウルグン(カーヌーン、ウード)
アブドゥルラッハマン・ギュルベヤズ(パーカッション、バーラマ)
セフェル・シムシェイキ(バーラマ)
トルガ・ウナルディ(ネイ)
石川利光(尺八)
HIROS(バーンスリー)

前売り 2,500円(会員2,000円)/当日3,000円

*チラシPDF
表 1.6MBturk_omote.pdf
裏 2MBturk_ura.pdf
【コンサート・予定プログラム】
■虚無僧尺八(石川利光)        鶴の巣ごもり、産安

■トルコ古典器楽(オスマン宮廷音楽の器楽曲)
  1.シャダラバン・サズ・セマイ
  2.ヒジャーズ・ペシュレヴ
  3.モハイヤル・クルディー・サズ・セマイ
  4.ブーセリキ・タクスィーム(トルコ音楽アンサンブル+尺八)

■トルコ民俗音楽
  1.「産んで、養育した、息子が入隊して二度と帰って来ない母の哀歌」
  2.「ザヒデェ」
  3.「あなたの頭のスカーフを黄色に塗ったかい?」「オルドゥの路上」
  4.「キジロール」
  5.「秘書よ、私の請願書を恋人に次のように書いてくれ」
  6.「トカト・セマッフ」
  7.クルド語での連続歌「私の光のアフメット」「あなたは山の上にあるイチジクの木だ」「アメディヤ」
  8.「イェディクレ」
  9.黒海の連続歌「踊れ、娘たち、踊れ」「私のアピストルの握りを薔薇で飾る」「アスカロス小川」
  10.「鶴のセマッフ」(トルコ音楽アンサンブル+尺八+バーンスリー)


【出演者プロフィール】
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トゥラン・ウルグンTuran Vurgun (カーヌーン、ウード)
1958年にトルコで生まれ、イスタンブールのITU国立音楽大学で古典音楽、カーヌーン、そしてウードを勉強し、数ある中で中近東古典音楽とイスラム世界の宗教音楽を演奏し、教えた;現在ヨーロッパで演奏、授業そして指揮の活動を行っている。

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アブドゥルラッハマン・ギュルベヤズAbdurrahman Gülbeyaz(パーカッション、バーラマ)
1962年にトルコで生まれ、ハンブルク大学で言語学と音楽学を専攻した。トルコとヨーロッパでトルコと東地中海のダンスを演じ、教え、それと平行して様々なバンドで、弦楽器と打楽器の奏者として活動した。現在はいくつかのバンドとプロジェクトで演奏し、打楽器、バーラマ(サズ)そしてトルコと中東の音楽の理論を教えている。

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セフェル・シムシェイキSefer Şimşek(バーラマ)
1975年 トルコ・トカト生まれ、5歳でバーラマ(サズ)を弾き始める。12歳の時、ASM(イスタンブールにある音楽学校)に入りEmre Saltuk (トルコで有名なサズプレイヤー)の元、サズを学ぶ。現在は、日本でサズ教室の講師や、演奏者として活動。

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トルガ・ウナルディTolga ÜNALDI(ネイ)
1975年、トルコ・アンカラ生まれ。アンカラ州立音楽院楽理科で、民族音楽学および民俗音楽を学ぶと同時に、トルコ伝統音楽や実験音楽の演奏活動を始める。彼の主奏楽器はネイであるが、他のさまざまな民族楽器も演奏する。自身の演奏活動の他、現代舞踊の伴奏などもつとめる。現在、イェルドゥズ工科大学芸術デザイン学部音楽学科の研究アシスタント。

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石川利光 いしかわとしみつ(尺八)
大阪府出身。琴古流尺八および古典本曲を横山勝也に師事。NHK邦楽技能者育成会第37期首席修了。平成7年度文化庁芸術インターンシップ研修員。国際交流基金の派遣他によりインド、アメリカ、スイス、オーストリア、ポーランド、ベルギー、オーストラリア、シンガポールの各国にて公演。
(ホームページ:http://shaku8-ishikawa.com/)

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Hiros 中川博志(バーンスリー/企画/講師)
1950年、山形県生れ。1981年〜1984年インドのベナレス・ヒンドゥー大学音楽学部楽理科に留学、インド音楽理論を研究。大学のかたわら、バーンスリー(横笛)、ヴォーカルを習う。帰国後、アジア各国及び日本のパフォーミングアーツ紹介の活動を続けている。訳書『インド音楽序説』は日本語で出版されている唯一のインド音楽理論書。
(ホームページ:http://sound.jp/tengaku/

【トルコの音楽について】 HIROS/中川博志
 トルコの音楽を簡単に語るのはとても難しい。
 なぜ難しいのか。それは現代のトルコ共和国という国の成り立ちと関係している。
 600年以上にわたって広大な領域を支配したオスマン帝国が第一次大戦の敗北によって解体し、現代のトルコ共和国ができたのは1923年である。
 一般にオスマン音楽とも呼ばれるトルコ古典音楽は、多民族国家であったこのオスマン帝国時代からの伝統をもつ音楽をさす。オスマン朝時代は、豪華な宮殿や館で音楽や舞踊が行われ、その音楽はアラブやイランの洗練された古典音楽の影響を受けたものだった。現代のトルコ音楽用語であるマカームはアラブの音楽用語でもあることからもそれが伺える。マカームとは、インド音楽のラーガに似た音階型による旋法システムのこと。また、ウード、カーヌーン、ネイなどの楽器もアラブ古典音楽と共通である。メフテルとして知られる軍楽もオスマンの遺産である。
 いっぽう「トルコ音楽」は、トルコ共和国成立後の、オスマン宮廷と直接関わりのない音楽の総称として使われる場合が多い。多民族国家であったオスマン朝と違い、現在のアナトリア半島を中心とした範囲にまで縮小したトルコ共和国では当初、トルコ人という民族性をアイデンティティの基礎に作られたため、民謡などの民俗音楽が重視された。
 トルコの音楽を一口で説明するのが難しいのは、今日一般にトルコ音楽という場合、民謡などの民俗音楽を基礎としたもの、共和国成立後しばらくして見直されたトルコ古典芸術音楽、さらにこの両者の融合したもの、これらを中心として数多くのジャンルが含まれるからである。
 さて、今回の公演は、おおざっぱに第1部を「オスマン音楽」、第2部を「トルコ音楽」に分けた。
 第1部の最初は尺八の古典本曲である。トルコの音楽と尺八は直接関係ないが、トルコと日本の自由リズムの音楽を聴き比べてほしかったのでプログラムに載せた。自由リズムの音楽というのは、一定の拍節をもたない、つまり手拍子の打てないもの。尺八の古典本曲はほとんどがそうである。
 続いて平置のハープといえるカーヌーン、イスラーム世界の代表的な弦楽器ウード、尺八によく似た発音構造のネイによるトルコ古典音楽のサズ・セマイ、ペシュレヴという器楽様式の曲。それぞれ導入部で演奏されるタクスィームがやはり自由リズムである。タクスィームとはマカーム(音階型)に基づいて即興的に演奏される部分をさす。トルコの音楽には自由リズムによるものが他にもある。民俗音楽のウズン・ハワー(長い歌)という様式である。これは第2部で紹介される。
 この、西洋音楽にはない自由リズムの音楽は実はユーラシア全域で見られる。追分様式の日本民謡、モンゴルのオルティン・ドー(長い歌)、インド音楽のアーラープ、イランのアーヴァーズ、ハンガリー民謡のパルランド・ルバート、そしてトルコ古典音楽のタクスィームやウズン・ハワー。虚無僧尺八とネイを聴き比べると、アジアの両端にある縦笛の意外な共通性が感じられるだろう。
 第2部はトルコの民謡が中心である。先に挙げた自由リズムのウズン・ハワーの他に、軽快な変拍子に基づくクルク・ハワー(割られた歌)の曲。ネイ、カーヌーン、ウードの他に、重厚な撥弦楽器バーラムの独特の響きと力強い歌声が、9拍子、10拍子といった変拍子の軽快なリズムに乗って響き渡る。
 最後は中東アナトリアの民謡を、インドの竹笛バーンスリーも加わり全員で演奏して終わる。

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