2013年6月22日

6/8 井戸へのアプローチ

8(土)カフェトーク「涸れた井戸を潤す」
             2013年6月8日(土)18:00〜/話者:山村幸則/参加無料(要1ドリンクオーダー)

現在、アートスペースかおるにて開催中の裏庭野外展示の作品制作の為、
自作の縄梯子を頼りに井戸の底まで下りていった山村さん。
内径72cm、深さ6.5m、涸れた井戸とはどのような世界だったのでしょう。みなさんのご来場をお待ちしております。
※2013年6月22日(土)現在、展覧会は終了しております。


いつも様々な事に興味津々な山村さんのカフェ・トークです。
ここCAPから少し西へ行った山ぎわにある「アートスペースかおる」さん。
そこで展覧会中の展示についてお話しして頂きました。



その「アートスペースかおる」さんの庭先には涸れた井戸があるとのこと。
そんな井戸に魅せられて作品として提示してみたい。
そしてギャラリーのオーナー夫妻とお話が進み、より井戸への想いをカタチにしたいと言うことです。



いつもの事ながら興味を持つと居ても立っても居られない山村さん。
今日のお客さんも、そんな山村さんを熟知している様子、面白い事が起きてるんじゃないかと。
なんだなんだ、今度は井戸か、井戸がどうしたんだ!
みなさんも興味津々です。



用意周到な山村さんです。
制作に取りかかる前の調査にも余念がありません。
いったい「井戸」って何だ?から始まります。
上水道の無いむかしの生活にも欠かせない水の確保の必需品「井戸」。
人の生命に一番近い存在かもしれません。
そんな井戸の施工開発の歴史も解説して頂きました。
ん〜、知っている様で知らない事だなぁ〜、なんて。



様々な井戸の歴史を聞いていると、田舎にあった古井戸を思い出すなぁ。
母屋の裏には牛舎があり、その間の中庭にある井戸から滑車で水を汲んだ記憶がよみがえります。
今では貴重なしぼり立ての生乳も、子どものワタクシには生ぬるくて気持ち悪いなぁ、なんて。
「井戸」と聞くと、その存在とか意味とかを考える前に、「昔のもの」と言うおもいが最前面に出てきて、
井戸自体よりその時代に思いを馳せるのはワタクシだけでしょうか。
まあ古い人間という事だなぁ、うむ。



さあ、そしていよいよ「涸れた井戸」を潤す作品制作に取りかかります。
綿密な現地調査、もちろん井戸にも潜入します。
ろうそくの炎をロープで井戸の底まで降ろして行き、消えないで燃え続けているので酸素も大丈夫と判断。
とは言っても底に不要なガスがあるかもしれないのでガスマスクも準備。
縄ばしごはロープと板で手作りです。
ちょっとオーバーなぐらいの完全防備、家族総出で井戸に突入する山村さんを見守ります。
井戸は涸れきって底には水もありません。
小動物の白骨があるぐらいです。
そんな未知と不安の井戸底から地上を見上げると、青い空と井戸入口にちょっと見えるミドリに安堵したそうです。



そんな井戸底からの想いから「潤す」方法を考えます。
当初は大きなジョウゴを作って雨水で潤す。
もしくは、沢山のトヨを作ってみる。
などなど様々ではあるけれど、今は涸れてしまった「水」を取り戻す思考からちょっと離れてみます。
行き着いた先は、暗い井戸底に「光」を届ける事により「涸れた井戸を潤す」手法。



その暗い井戸底に「光」を届ける為に準備したのは紙と銀色の塗料。
無数の紙を広げ銀色の塗料を塗って行きます。
それら銀色の紙を井戸の内壁に貼ります。
縄ばしごに吊られた不安定な足場。
狭い井戸では動きの取りにくい作業です。
いろいろ問題も出てきますが克服しながら作業を進めます。



そして井戸の内壁にびっしりと貼られた銀色の紙。
その為、暗い井戸底に光がうっすらと届きました。
この涸れた井戸からすると初めての光かもしれません。
この井戸は昭和初期に作られたとの事。
使われなくなってからも長い年月がたちます。
井戸の中は当時と変わらないまま。
劇的に移り変わる外の世界をじっと見つめていたことでしょう。



本日もご静聴ありがとうございました。


鳴海健二 01カフェ日記
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