2009年11月10日

12/13 クラヴィコードの植物文様・2009・神戸

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トーク&コンサート
クラヴィコードの植物文様・2009・神戸
〜フラジャイルな響きの綴れ織り〜
"Patterns of Plants", a fragile sound tapestry, played on the clavichord


植物の生体活動を微小な電位変化のデータとして採取しメロディックなパターンに読みかえる作業。
この作曲の試みと多様な音律についての興味から《植物文様》という作品が生まれました。
作曲家による音律についてのプレトークとバッハも愛用したクラヴィコードによるコンサート。
あなたの耳を開くフラジャイルな音の綴れ織りをご堪能ください。


日時:2009年12月13日(日) 開場14:00  開演14:30 (終演予定17:00)
料金:前売予約 ¥2,500(membership¥2,000) 当日 ¥3,000円


演奏:砂原悟(クラヴィコード)
プレトーク:藤枝守(作曲家)

曲目:藤枝守 作曲《植物文様クラヴィーア曲集》全20曲
使用楽器:クラヴィコード 山野辺暁彦製作、1780年代ドイツ・フーベルト製作モデル)

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【クラヴィコードとは】
音律楽器であったモノコードに鍵盤機能がついたクラヴィコードは、17〜8世紀のヨーロッパ全土で広く愛用されたといわれています。
誰かのために演奏されるのではなく、演奏の練習や作曲の手助けとして重宝がられていたようです。
タンジェント(金属片)が弦を突き上げる独特のメカニズムによって、ピアノやチェンバロにはない微妙な音のニュアンスが醸し出されます。
今回は、古典調律法のひとつである「キルンベルガー」を採用しています。

【植物文様】
この作品は、植物研究家でありメディアアーティストの銅金裕司さんが考案した「プラントロン」という装置との出会いから生まれました。
この装置から採取された植物の葉表面の電位変化のデータには、なにか音楽的な価値が内包されているのではないだろうか。
そのような些細な思いつきから、実際にコンピュータ・プログラムを作成して電位変化のデータをメロディックなパターンに読みかえる作業が始まりました。
それは、「なにかをみいだす」という行為に集中した作曲の試みでした。
この試みが、さらにピタゴラス音律や純正調などの音律についての興味と絡み、シリーズの作品となってゆきました。

【出演者プロフィール】
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砂原悟(クラヴィコード)
東京芸術大学付属高校を経て、1983年、同大学卒業。同大学院在学中の1985年、ドイツ学術交流会の奨学金を得て渡独。1987年、ミュンヘン音楽大学マイスタークラッセを修了して帰国。1988年、東京芸術大学大学院修了。1993年まで同大学院博士後期課程に在籍した。現在、日本各地で、独奏、室内楽、歌曲伴奏などの演奏活動とともに、コンクール審査、音楽雑誌「レッスンの友」での執筆活動なども行っている。1984年、日本音楽コンクール入選。1987年、ポルト市国際ピアノコンクール(ポルトガル)入賞。1988年東京芸術大学大学院にてクロイツァー賞受賞。東邦音楽大学・大学院准教授、東京芸術大学講師。宮島敏、中山靖子、クラウス・シルデ、小林仁の各氏に師事。

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藤枝守(作曲)
カリフォルニア大学サンディエゴ校音楽学部博士課程修了。博士号を取得。作曲を湯浅譲二、モートン・フェルドマンらに師事。ハリー・パーチ、ルー・ハリソンに影響されながら、純正調によるあらたな音律の方向を模索。CDに《Patterns of Plants》《今日は死ぬのにもってこいの日:植物文様ソングブック》《クラヴィコードの植物文様》など。著書に『[増補]響きの考古学』(平凡社ライブラリー)、『響きの生態系』(フィルムアート社)がある。最近では、NTTインターコミュニケーションセンターや金沢21世紀美術館、福岡天神アルティアム、京都芸術センターなどでサウンド・インスタレーションを手がけている。今年2月に放映されたNHK「爆笑問題のニッポンの教養」に出演。現在、九州大学大学院芸術工学研究院教授。

【プレトーク】「音律から始まる〜近代を超えて」
近代以降、われわれの音楽は平均律(正確には十二平均律)というひとつの音律に依存してきました。実際に、平均律が登場するのは19世紀半ば。それはピアノの大量生産がもたらしたともいわれています。今日まで150年余りの時間のなかで、近代の西欧音楽は、平均律のピアノが象徴となり、全世界に流布していったのです。つまり、音楽文化は、今日の社会・経済の動向に先んじてグローバル・スタンダードのうねりのなかで展開したのでした。
グローバル・スタンダードとしての平均律を、では、どのように相対化できるのか。さらには、相対化する過程のなかで近代主義を超える手立てをみいだし得るのだろうか。このプレトークでは、音律に対するあらたな視座から、もう一度、音楽の変遷をかんたんに辿りながら、これからの音楽の行方を占ってみます。
かつて、神戸で教鞭をとられた平島達司先生は、音律の重要性をいち早く説かれました。その平島先生が発した問いを受け止めながら、響くということの意味、そして、われわれの耳に、より鋭敏な感覚が宿る可能性をさぐってみたいと思います。

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