2011年5月 6日

Bibliotheque 208主宰、森下明彦インタビュー

本のために引っ越した森下明彦さんにお話を伺いました。
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CAPTURECAPTUREはC.A.P.のニュースレター「caper」のピックアップ記事です。

6月から始まる「ビブリオテーク208.ext〜移動美術資料室がCAPにやって来る!」は、メディアアーティストでコレクターでもある森下明彦さんの膨大な美術資料を広げ、見て、読んで、語る、不思議なプログラムです。本のために引っ越したという森下さんにお話を伺いました。

・森下明彦の美術資料室がやってくる
ビブリオテーク208は、三宮のとあるビルの一室に開設された美術資料室です。資料室がやって来る?まずは室長の森下さんに今回のいきさつを伺ってみました。
「2003年から3年間、C.A.P.で計27回ゼミを行いました。その時は僕が話をする大学の講義のような形だったのです。しかし27回目の最後のゼミ、ビブリオテーク・エフェメール(一日だけのアート図書館)ではたくさんの本や雑誌を持って行き、受講者と資料を見て読みながら意見交換ができました。その時の楽しい経験が今回のプログラムのきっかけです。みなさんが、手に取ってじっくりと資料を見る、読む、という事を大事にしたいと思っています」

森下さんの資料室には新旧、国を問わず膨大な資料が並んでいます。「資料収集は中途半端でいい加減、今何冊持っているかも分かりません」と語る森下さん。資料収集を始めたきっかけは何だったのでしょうか?
「もともと美術資料は集めていましたが、約30年前に箱入りのアーティストブック『Artists and Photographs』を見つけた時、突然火がつきました。このアーティストブックは展覧会のカタログで、ちいさな本やカードなどさまざまなものが箱に収まっていて魅せられてしまったのです。それで、第1回目ではアーティストブックについて、また収集する際に心がけていることなどをお話ししつつ、いろいろな資料を囲んで回し読んでいただきたいと思っています」

今回のプログラムは全10回、アートや雑誌、ジャーナリストや神戸博覧会など、様々なテーマで行われます。森下さんのテーマの選び方、そしてプログラムの進め方についてお聞きしました。
「今回は、僕が興味のある事、それから今後やってみたいこと、この両方でテーマを組んでみました。資料の見方、考え方は人それぞれで異なるように思います。みなさんには何か新しく興味を持ってもらうきっかけをつかんでもらい、資料に対する感想など話し合えれば、と思っています。資料は毎回、数が多かったり少なかったり様々です。以前C.A.P.で行ったゼミは、『アートから遠く離れて』というテーマを軸に、そこをぐるぐると回っていくような題材を選びました。しかし今回は軸がなく、方向も定めずに向かうべきところがたくさん出てくる、次はどこへ向かうのだろうか?というように進めていきたいと思っています」

お話の最後に「資料、特に美術資料は、重い、大きい、高い、の三重苦で大変です」と語った森下さん。それでも本に魅せられて、集めに集めた貴重な資料の数々。みなさんと資料を囲んで本の話をし、想像を巡らせることを楽しみに6月から全10回、森下さんの私製美術資料室がやってきます。

【森下明彦(メディア・アーティスト/美術愛好家)】
美術大学教員を昨年で退職し、現在は美術と映像に関する研究を続けながら、美術資料室の開設公開を準備中。また、国立国際美術館客員研究員として「中之島映像劇場」と名付けた映像上映会を企画。


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