2011年9月21日

10月のcapture 「相原信洋さんのオールナイトパーティ」


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C.A.P.で制作活動を行っていた相原信洋さん。今年4月にバリ島で惜しくも亡くなられましたが、生前にCLUB Q2でのオールナイトパーティを計画されていました。それを有志で開催します。C.A.P.でも人気者だった相原さん。すてきなエピソードがいっぱいです。

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「気負わぬ姿」藤本由紀夫(アーティスト)
80年代の後半、私がギャラリーでの発表を始めて間もない頃に出会って以来、相原さんのあの独特なオーラを漂わせる風貌と気さくな雰囲気はまったく変わっていない。時々、相原さんと交わすとりとめのない話の中で「神戸でやっているCAPHOUSEはいいね」と言われたときは本当に嬉しかった。
いつもはひょうひょうと話す相原さんが、ある時真面目な表情で「ちょっと話を聞いて欲しい」と言って来た。「C.A.P.で制作をしてみたいんだ、週に1日ぐらいしか行けないけど、少し環境を変えて制作してみたいのと、ふらりと訪れた人とゆったりと話をしてみたいんだ、そこからまた何か新しい出会いが生まれるんじゃないかと思うんだ」と。C.A.P.のコンセプトを的確に理解されていることに驚いた。C.A.P.での2年間の相原さんの淡々とした活動は、優雅で、紳士的な、いつもの相原さんのイメージとは異なる側面を感じさせた。C.A.P.だからこそ、肩の力を抜いた本来の相原さんを見せていたのではないだろうか。

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「におい」下田展久(C.A.P.事務局)
相原さんがC.A.P.のアトリエに入ることになった時、「下田さん、C.A.P.宛に荷物を送ったから、すみませんが受け取っておいて。すぐまた来ますから。開けないでね。じゃそういうことで」ということで、その言葉どおり大きめの紙袋が届いた。しかし相原さんはなかなか来ない。そのうち臭ってきた。なんだか生臭い。更に時が経ち、どうにも我慢できなくなった。開けるなと言われていたが、もうしょうがない。しかし、腐臭を発しているそれはいったいなんなのか?大きさといい形といい、人間の頭部のようではないか。妄想で頭の中がいっぱいになって怖くなった。開けてみると、海で拾った岩とか貝殻とか。どうも洗っていなかったようだ。後日、何でこんな物を?と聴けば、このふしぎな形からいろいろなインスピレーションが来るのだ、とのこと。やっぱり味のある人は違うなあ。

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「片手に飲み物」井階麻未(アーティスト)
わたしが京都造形芸術大学の学生だったころ「人間は、いつ死ぬか分からないのよ!だから今、やりたいことをやらなきゃダメよ!だって、いつ死ぬか分かんないんだから!」相原先生はいつも授業が始まる前におっしゃっていました。他にも「井階、今日はチャクラが小さいけど、何かあったの?」「人生で一度は宇宙人に会わなきゃダメよ。うわ〜〜〜ってすごいものにさぁ!」「もっとさぁ、こんな狭い校舎にいないで、外へ出ようぜ!世界へ飛びださなきゃダメよ!」名言の数々はまだまだありますが、全部わたしの心に染みています。アニメーションを鑑賞する時は頭をフレッシュにする為に、片手に飲み物(コーヒーがベスト)がなきゃいけない、と、授業中に買いに行かされていました。相原先生の授業は最高に面白かったです。先生の人生そのものが作品だったんだなぁと思います。相原先生LOVE forever!

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「熱い人」鳴海健二(CAFE & SHOP y3 マスター)
「持ち帰り用でコーヒーください」いつもの様に紙コップに熱いコーヒーを淹れて渡すがそれをアトリエまで持ち帰る事はまず無い。「この春鳥取砂丘へ遊びに行ったんだよ」コーヒーをドリップしている間に身振り手振りで話し出す。「砂丘なんかは海外でもっと大きなものを見てるからあれだけど...」なるほど砂漠と比べれば砂丘なんか砂場の様に見えるのだろう。それから砂丘近くの民宿に泊まった時のエピソードを話し出す。民宿のオヤジが軽トラックにオールを積んで、すすめられるまま池のボートに乗った。電話してくれたら迎えに行くから好きなだけ居たら良いとの事。「だけどその池でなんかわかんないけどパワーをもらった気がするんだよねー」ならばと、その多鯰ヶ池(たねがいけ)の「お種伝説」をおしえてあげると、「あー、あー、そうなの。なんか神秘的だよねー。あー、そー」と、やはり紙コップのコーヒーはカウンターで飲み干される。まさに熱いままの人である。

10月21日(金)のオールナイトパーティ「30℃」の詳細はこちらです。
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