2010年8月10日

第9回アート林間学校2010 終了いたしました! その1

7月31日の土曜からはじまり、8月8日の日曜まで続きました、第9回目のアート林間学校が終了しました。
激暑のなか、近所の山に登って行なうハードな講座もありました。しかし参加者は誰一人として熱中症にもかからず、なんとか無事終了することができました。とはいえ、講師約1名は事前準備で熱中症になったんですけど。
全体を通して、小学校低学年の受講者のお行儀のよさにおどろきました。
子供達のなんという集中力!講座に依っては、シーンとしちゃって講師が緊張するという不測の出来事まで起きる始末。将来の日本は、彼らのまじめパワーによって安心です。
一方、やや冗談ではないかと思えるくらいの度量の深さを示した「大人講座」のなかの「あまいあまい☆ランジェリーを〜」と「ブーメラン・ブーメラン・ブーメラン」は申込みも無く、ほとんど世間から無視された形で中止となりました。
この事態を憂慮したあるC.A.P.のアーティストが「だれも参加しないなら、ぼくがランジェリーつくっちゃおうかな」とフォローに出たのですが、既に担当講師は完全に戦意を喪失していたため、この救いの手自体も世間の知らないこととなって幕を閉じました。来年の教訓としたいと考えます。
では、簡単ですが、今年のアート林間学校を写真で紹介します。

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こんなおうちに住みたいよ!!  7/31(土) 担当講師:澤木久美子(建築家)
この講座、すごい人気でした。募集開始とともにあっという間に定員に達してしまったのですが、なんででしょうか?
参加した人でこのブログを読んだ方がいたら教えてください。
講座では、まず紙に建築プランを書きました。実際の建築現場で出た端材なども織り交ぜ、様々な材料を釘やボンドで接着し、実際に家の模型を作ります。
せいぜい色を塗った積み木のうちができるのかなあ〜〜〜、と思っていたらエラい勘違いでありました。みんなのすばらしい作品にびっくり。ひとつづつ紹介できないのが残念であります。
もしかしたら本当に建築士になる子もでるんじゃないでしょうかね?

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子どもワンダーカーニバルをつくろう!  7/31(土) 担当講師:谷口彩(アートマネージャー)/マスダマキコ(造形作家)
これは実際に8月21日、22日に開催されるプログラムの企画を子供達に考えてもらっちゃおう、そのうえちょっと準備もしてもらっちゃおう、さらにあわよくば口コミで宣伝もしてもらっちゃおう!!というトリプル企画であります。しかしここでも参加した子供達は我々の予想を越える大活躍でした。なんかこの人達、広告代理店の企画部で採用してもらえるんじゃないの?くらいのはつらつとしたアイデア、計画構築、そして実行力はすばらしい!このまま大人になって日本を救って欲しいと思いました。
来年はアート林間学校の企画にも参加してくれたまえ!!

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炭酸ガスロケットを飛ばそう  7/31(土) 担当講師:上村亮太(美術家)
長年炭酸ガスロケットを研究している美術家、上村さんによるこの講座、今年はさらにグレードアップしてこれまでで最長の飛距離を記録しました。
長年研究、、、といっても炭酸ガスロケットのことなんか、アート林間学校の時にしかもちろん考えていませんが、たしかに前年よりも講座内容もロケット自体も改良されました。
このままだと再来年くらいには、事前に県警などへの届け出も必要になるのではないかと危惧されます。ただ今回の反省点は、「近頃のペットボトルの炭酸飲料は飲み口の口径が様々である」ということに気づくのが遅かった、という点です。このため、受講者は約束通り炭酸飲料のペットボトルを持参したにもかかわらず、スタッフが近所のコープのCCレモンを買い占めに走る、という事態になりました。
もうCCレモンは当分飲みたくありません。

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モノコード制作と音律の講座  7/31(土)-8/1(日) 担当講師:藤枝守(作曲家)
「大人講座」のトップバッターがこの講座でした。講師の作曲家、藤枝さんは昨年NHKの爆笑問題という番組でも音律の話題で取材を受けていましたが、大変中身の濃い、大学院レベルの内容の講座であったと言えるでしょう。写真はモノコードという楽器/音程の計算機を作っている所です。
初日はこの楽器の工作で終始しました。そして二日目は5時間に及ぶ音律のワークショップが、この自作のモノコードを使って行なわれました。まるで真面目な学生しかいない研究室のようであります。
音律の話しは実際に音を聴く体験と合わせて、さらに展開できる可能性がありそうです。この続きがなんとかできたら面白そうです。「アート林間学校」の大学院という感じでした。

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百歳のお誕生会  7/31(土) 担当講師:JOE(美術家)
ケーキにローソク100本立てて誕生会してみたい!!というシンプルであり、しかも瞬間で終わってしまいそうなこの企画。。。。盛り上がらなそうでいて、ここまで盛り上がったのは講師の人間性でしょうか?はたまた参加者の意気込みでありましょうか?とにかく楽しい企画でした。実際に100歳になったとき、誕生日ケーキが食べたいかどうかは忘れて、みなさんでほんわか盛り上がりました。
今後の反省としては2点。
ひとりづつこんなでかいケーキを持って来たら、絶対食べきれなかった。。。ということ。
そして、これはいったい「講座」と呼んでいいのか?ということでした。

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木工クラブvol.01  7/31(土)-8/1 担当講師:築山有城(彫刻家)
まさしく「大人講座」にぴったりのこの感じ。すばらしい人生!!
今回築山さんが用意した材料は楠でした。全体的に樟脳のさわやかな香りがただよう二日間でした。
しかし、この講座でも受講者は女性です。来年は男子もがんばろう!

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かくれた私  8/1(日) 担当講師:上村亮太(美術家)
「隠れる場所を決めて、自分をすっぽり包む紙にその場所そっくりの色を塗ったり・・・・」という講座の説明文でしたが、どうにも紙が大きくなりすぎるということで、地球環境に配慮しまくったこのサイズのものに変更となりました。
しかし、このコンセプチュアルな作品制作を見事に実現して行く小学生たちってすばらしい。さすが具体美術運動を間近に見守った神戸の風土!
写真は、かなりわかりやすい参加者の作品を選びましたが実際には、白い紙に白い絵具を盛り上げただけの「白い壁」!という大作や、床に置いて乾かしているうちに作品がどこにあるかわからなくなりそうな「床」の作品(だと思うんですけどね)もあったりして、見る者に感動を与える講座となりました。
参加者の約半数が、熱暑の屋外で作品を作り、施設の中と外をずっとダッシュしていた上村さん。おつかれさまでした!

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靴に庭を作ろう!?  8/1(日) 担当講師:JOE(美術家)
意表をついた講座でした。「靴に庭」ですよ?わかりますか?
案の定、参加者のうち一人は、靴の中に庭を作っていましたが、これは当初からの計画だったようで、彼は講師に「履けなくていいから靴の中に庭を、、、」と訴えていました。でもいいんです。
これはたのしい!参加者だけでなく、周囲にいた人もみんな楽しんだ講座となりました。
今頃この人達はやや丈の伸びた不思議な植物をつま先に載せ、神戸の街を歩いているのだろうか?
そして来年、再来年にはいったいどれくらい大きな靴になっているのか?はたしてそれはまだ履けるのか?
未来にQuestionを投げかける、奥の深い講座になりました。このブログを読んだ参加者のかたがいたら、靴の庭の成長記録、是非手記をお寄せください。

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トーテムポールをつくろう  8/1(日)  担当講師:二川英一(木版作家)
愛らしい参加者と作品の写真をご覧下さい。ほのぼのしますが、実はここに到る準備が大変でありました。
山からヒノキの丸太をもらって来て、C.A.P.で皮をはがす、、、、はがす、、、はがす、、、
そして皮を剥いた表面を洗い、腐らないよう陰干しを続ける。。。。
材木の準備って以外と大変そうでありました。「大変そう」というのも、ぼくはその期間ずっとぎっくり腰で、C.A.P.女子がこの荒々しい作業をするのを、怖じ気づきながら見守るのみでありました。
そして講座の当日は、子供達でこの丸太を切断し一人ずつの作業ができるようにする所からスタートです。
とはいえ、この太さですがから子どもがノコギリの手引で切るのは大変です。大変だからといって先生が代わりに切ってあげたりなんかしませんから、朝から始めて、ひとりずつの作業サイズになったのが昼食後でした。甘く見ちゃダメですね。これが現実であります。
おいしい昼ご飯を食べてから、グループに分かれた参加者は、グループ毎にトーテムポールの物語を考え、ひとりひとり自分のトーテムパーツを作り上げ、またそのパーツを組み合わせて物語を全員に紹介する、という難事業を成し遂げたのでした。
この写真。。。一見無邪気に笑い、嬉しそうな子供達の表情のその奥に、ワンステップ深い人生を学んだ大人のまなざしの萌芽を見て取れるでしょうか?

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ただひたすら穴を掘ろう  8/1(日) 担当講師:藤川怜子(造形作家)
これも何故かすごい人気の講座でした。募集開始後数時間で定員は一杯となり、事務局が講師を説得し定員枠をその日のうちに広げてもらうというすごいことになりました。
それでもキャンセル待ちの方々の長いリストが出来上がりました。

しかし、山に登ってただ穴を掘ってみる、、、という講座の内容に何故???
「なんでこの講座に参加したいのですか?」
申込みの電話を受けたとき思わず、保護者の方に質問してしまいました。
「きっと穴をずっと掘って行くとすばらしいものが出て来るかも!?と言って楽しみにしています!」
というお答えでした。
なにか出たんでしょうか?とりあえず汗は死ぬほど出たと思いますが、この写真の表情を見ていると、ほかにもなにかすばらしいものが見つかったのかもしれませんね。

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ストロー合体!ヘキサビットを作ろう  8/3(火)  担当講師:木村たけし(造形作家)
名前がいいですね、この講座は。講師で、金沢21世紀美術館の教育プログラムを担当している木村さんが考えました。
「ヘキサビット」このメカな雰囲気の言葉で、「なんだろう?きっとロボットとかロケットとか、すごいもんができちゃうんじゃないの?」とうっすら期待した参加者もいたかもしれません。
実際はもっと柔軟な造形ワークショップでありました。
モールを曲げてストローのジョイントを作り、自在に組み合わせて造形を作って行きます。
ストローもカラフルで楽しいですね。他の講座を担当した講師たちからも「これ欲しい!」と人気でありました。
今もY3の3階広場のテーブルの上に飾っています。よかったら観に来てください。

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粘土はつくれるのか?  8/3(火)  担当講師:中澤雅子(陶芸作家)
今回、全般的に粘土関係の講座に人気が集まりました。この講座、タイトルの通りでありまして「粘土で何かをつくる」のではなく「なにかで粘土をつくる」講座です。
では何で粘土なんか作れるというのでしょうか?
それは、この講座の前日に行なわれた「ただひたすら穴を掘ろう」という講座で掘り返した土を使って粘土を作ってみようという試みだったのです。
なんだ!ただひたすら穴を掘るには訳があったのか!と納得していただけたでしょう?
自分が受講する講座だけでなく、企画全体を見渡して行くと相関関係が見えてくるという訳です。
ということで、この講座もまずは山に土とりに行くところから始まりました。
ところが、ここでアクシデントが起きたのです。
前日に掘り返した土の匂いに魅せられたのか、準備万端状態の現場を一晩でイノシシさんがめちゃくちゃにしていったのでありました。まあ、山ですからね。しょうがないんですけど。
講師のレポートです:
普通の土だけでは粘りがないので、粘土を作るときにも使われる、木節粘土と、蛙目粘土を粉末にしたものを土70パーセントに対して15パーセントずつ加えて混ぜます。

、、、、とあっさり行きたかったところなんですが、
山に到着すると、前に道具類を搬入して箱に入れておいた土が、
イノシシのイノちゃんが、見事にひっくり返して全部ばらばらに。。。。

小学生の皆も「どうすんのー。」って感じで粉々になった残骸を眺めていたのですが、
ここで皆一致団結。
粉を篩にかけてゴミと分ければ何とかなるだろうと、全員総出でごちゃごちゃになった粉を
篩にかけてきれいにしていきました。


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美しいノイズ〜ラジオを使って  8/3(火)  担当講師:坂出達典(オブジェ作家・パフォーマー)
ラジオを使った坂出さんのパフォーマンスをモチーフに、参加者がその不思議な音と戯れてみる、そして坂出さんの不思議なパフォーマンスやオブジェ作品を支える美学について、さらに不思議な話しを聴く、というまったく大人な講座でした。
坂出さんの経営するメタモルフォーゼというバーには、昔よく村上三郎さんがやってきました。村上さんの美学をグラス越しに聴き続け、自分の活動の核を作って行った坂出さんの話しはやはり面白い。
村上三郎さんがご存命だったらぜひゲストにお招きさせていただきたかったですね。
しかし、坂出さんの作品は、話しを越えておもしろいですよ。今回も最後に最新作のパフォーマンスを披露してくださいました。
豪勢な講座となりました。坂出さんありがとうございます。
また、飲みに行かせてもらいますから。

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黒く塗りつぶせ!  8/4(水) 担当講師:築山有城(彫刻家)
Paint it Black!です。
講座は11時から夕方5時まで。この間、ずーっと4×8のベニア板を鉛筆で黒く塗って行きました。
一種の修業ですね、この講座は。こんな大人な講座に若い参加者を得て、うれしいことです。
ちなみに小学生の参加者約2名は、途中からみんなの鉛筆を削るという後方支援業務に転職してしまいました。
次回は同時に「鉛筆を削ろう!」も開催したらどうか?検討課題であります。

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CAP原人あらわる!?  8/4(水) 担当講師:マスダマキコ(造形作家)
穴、粘土、に続く山の上大作戦の第三弾はもっともハードな講座です。
なんせ、熱中症で日本全国ばたばた人が倒れて行くなか、山にののぼり、人力で火を起こし、もちよった食料を火で焼き、その場で食べ、かつ固い石をなぐって割って鋭い破片を作り、それを包丁と呼んで野外調理もしようという、特攻隊のような作戦でありました。
しかし、こんなことで怖じ気づくのはぎっくり腰だからだったのか、参加した子供達は終始ハイテンションで原人と化したのでした。
講師の反省としては、「次回からは火を起こす講座は冬にやった方が良いであろう」ということでした。
原人と化した参加者たちが二学期までに現代人に戻れると良いのですが、、、、

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土でピカピカ光る宝石作り  8/4(水) 担当講師:中澤雅子(陶芸作家)
またしても粘土関係は人気です。しかも「ピカピカ光る宝石〜」ですからね。受講料1000円で宝石が持ち帰れるとは!!
粘土なんですけど。
この講座は色をつけた粘土で宝石のようなかたちのものを造形し、あとはひたすら磨くのみ。
でも磨くと光るもんですから、みなさんどんどん磨きますね。
ピカピカに光りました。しかし、やっぱり建物の中は快適であります。宝石なんていう贅沢品に思いを巡らせる余裕もでようってもんですね。
みなさんの作品ですが、磨きやすく、壊れにくい形状に集約されて行き、どうやら宝石というよりはビー玉に近いものができてきました。

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アニメーションコマ作り  8/5(木),6(金) 担当講師:ポール・ベネ(美術家)
実は講座直前まで試行錯誤を繰り返した企画でありました。担当のポールさんは、いろいろなアイデアを試し、今日はハンズ、昨日は100均、明日はユザワヤ、、、と講座に使える素材探しに走り回ってくれました。
結局、「コマ」とはちょっとイメージが違うのですがご覧のようなゾートロープを各自作成しました。
台座は100均の植木鉢用の皿であります。これがうまくまわっちゃって、まわっちゃって・・・・
アニメーションになって自分の絵が動くという感動から徐々に「誰が一番早く回せるか」というスポーツにも変貌しつつ、盛り上がって行ったのでした。
しかし、これは良いアイデアでした。きれいなゾートロープができあがりました。
みんな、おうちでちがう絵を作って動かして楽しんでいることでしょう。


だんだん長いレポートになってきました。
もうぎっくり腰でもあり、長すぎるので続きは次回に譲りましょう。
ではまた近々、続きのレポートを掲載します。
お楽しみに。



shimoda 01Y3日記
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