2011年11月20日

12月のcapture「それぞれのドローイング」

"capture"はC.A.P.のニュースレター"CAPER"に毎月掲載の取材記事です。
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12月のcapture「それぞれのドローイング」
昨年4月に続いて2度目のDrawing Exhibition
ドイツに滞在中の林延子を除く参加作家の4人、大西正一、築山有城、林勇気、山村幸則に、今回の展覧会のテーマ「ドローイングの距離」へのそれぞれのアプローチについて伺いました。

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築山有城(彫刻家)「自分の線/機械の線」
前回参加したドローイング展では、市販のマイブックという何も書かれていない本を買って、1月1日からずっと年内は毎日書いたんですよ。日記とかアイデアスケッチとか。文章で書き留めておくと、書いた時の脳みそに瞬間的に戻る。この過程もドローイングと呼べるのかなと思って展示しました。今実験的に制作しているのが、手回しろくろに母材を固定して回転させ、サインペンを走らせる作品。実際に僕が描いてるんですけど、回転運動が加わってるんでそれが自分の線なのか機械の線なのかわからない。今回はそんな方法で制作した作品を展示しようと考えています。




111203capture03.jpg林勇気(映像作家)「コンピューターとドローイング」
僕はコンピューターで画像データから素材を切り抜き、素材に動きを付けてアニメーションを作っています。1つの作品で数千枚分のデータを扱うことがあります。画像を切り抜いている時に指で触っている感覚があり、それを可視化出来ないかと思って切り抜いた画像のアウトラインをコンピューターの線でなぞっていきました。
マウスを動かしてコンピューターで線を描くことをドローイングと呼べるのかどうか、その境界線を考えた時に、今回の展覧会のテーマ「ドローイングの距離」を思いついて参加作家のみなさんに提案しました。


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山村幸則(美術家)「移動の跡と実験」
前から自転車でC.A.P.に通っていて、運転中に生と死の境目みたいな、かなりギリギリの状態になることがあるんですよ。
そんな状態で移動している軌跡というか、跡はなかなか目に見えるものではないけれど自分が移動した距離を作品に結びつけたいとずっと考えていて、今回の展覧会では実験的にドローイングでアプローチ出来ないか探ってみたいと思います。





111203capture05.jpg大西正一(写真家)「像と面の変化」
ある程度テーマを絞って撮りたい場所に行ってもうまい具合に撮れないことがあり、撮り重ねていくうちに段々、あ、これかも、っていうのが見えてくるんです。そこに行きつくまでの何枚かはドローイングに近いのかな。ドローイングはそもそも作品の完成に向けての過程を記すものだと思います。
普段写真を撮る以外にデザインをやっていて、デスクトップで作業してることが多いんですよ。デスクトップ上では日々情報が変化していて面白い。それを最近は毎日撮っています。今回の展覧会では壁1枚をデスクトップに見立て、その上で色々な設計をするような展示をしたいと思っています。

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2010年4月に開催したDrawing Exhibition「5人の風景--記述された日常」は、C.A.P.メンバーの上村亮太(美術家)が企画した展覧会で、大西正一、築山有城、林延子、山村幸則を集め、それぞれが日常の生活の中で描き続けたドローイング作品を展示しました。
本展参加作家の林延子は現在ドイツに滞在中です。
印刷物にはありませんが、ウェブ版では彼女から送ってもらった原稿を公開します。
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111203capture06.jpg林延子(美術家)「完成予想図ではなく」
去年の「5人の風景--記述された日常」展に参加してから、以前よりドローイングをするようになりました。ドローイングでも他の作品でも、はじめのとっかかりがあって描きはじめるのですが、作っている過程を通してどんどんアイデアが変化していくことに気がついたのです。
完成予想図のようなドローイングはあまりなく、ドローイングも他の作品と同じように1つ1つアイデアが変化して行くプロセスがあって、作品として描き上がると思っています。
今回は描く前に対象物の線をまずつくる、ということを考えています。いつも作品に手を入れすぎてしまうので、ぎりぎりまで本当に必要なものだけを残して作るように意識しています。また、展示方法についてももっと幅広く考えたいと最近よく思っています。

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