2012年6月20日

7/8(日)CAP STUDY 3「ビブリオテーク208.ext〜移動美術資料室がCAPにやって来る!」第2回:古書店のカタログ


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画像:「弘文荘待賈古書目 第四号」(1934)表紙
CAP STUDY3
「ビブリオテーク208.ext〜移動美術資料室がCAPにやって来る!」
第2回:古書店のカタログ
2012年7月8日(日) 15:00〜18:00
講師:森下明彦(メディア・アーティスト、美術・音楽愛好家)
参加費:500円/【要予約】 
整備中の「ビブリオテーク208」は、当初から美術資料室を目指していたのではありません。30年あまりの時間経過の中で、自然に集まってしまったのです。しかし、この「自然に」という意味は、簡単ではありません。後述します。

調査や研究の原則としては基本文献や参考資料に当たることから始まるので、どなたでも同じような経過を辿るわけで、ことさら特別ではありません。1つだけ異質なのは、私自身の興味の範囲が広く(別に言えば、特定の分野に飽き足らず、直ぐにいろいろと他に手を出すという浮気心の結果として)、その都度基本資料から押さえようとし、それでもそこを根城にする、といった意識が低いので、ある程度目処が付くとそれで止めてしまい、また、他所へと赴く・・・。とはいえ、それが広い意味での「美術」に収まっていたのは不幸中の幸いと言えましょうが、中途半端さは隠しきれません。

現在では新刊でも古書でも、ほとんど店頭では探しません。基本はインターネット(和古書なら、「日本の古本屋」、洋書なら「Bookfinder.com」で検索)。次に多いのが、古書店からのカタログ。次々と送られて来ますので、以前はその都度全ての仕事を中断し、急いで眼を通しました。何しろ店によっては先着順。目録が送られてきた時点でもう遅い!、といった場合もあるのです。

ただし、上記のこととは矛盾しますが、何と言っても一番面白いのは、偶然の出会い。店の棚でも、ネットでもカタログでも良いのですが、ざっと見ていく中で「あっ」と声を上げるものが時々混じっています。それをも含めて、個々の書籍や資料にまつわる「物語」が誕生しています(手に入れ損なった悔しさの方が多いのですが)。ですから、冒頭の「自然に」という言葉も、入手の際の出来事の詳細を捨象した時にだけ使えるのだ、ということを付記しておきます。

さて今回の移動美術資料室は、それ自体が1つの資料ともなっている、専門性の高い古本屋さんのカタログを集めてみます。中には販売目録であるにもかかわらず、志しが高く力がこもり、書誌であるより、テーマや人物に関して、関連するものがことごとく網羅されています。作成者の視点と努力が「関連するもの」の範囲と逸脱を決めていて、そのアクロバット的な技に驚くばかりなのです。以前はあまり残さなかったのですが、このテーマを決めてからは努めて貯めておくようにしてきました(そのために、数量的には多くありません、ご寛容を)。ほかに古書にまつわるエッセイ集も並べてみる予定です。とりわけ、古書店主がしたためそれは、古書の世界を垣間見ることの出来る窓となっています。

毎度のことながら「ビブリオテーク208.ext」は暴挙を承知の行動に出るのですが、今回も懲りずに挑戦します。それが、戦前から古書肆弘文荘を経営し、多くの貴重な古書を商ってきた、反町茂雄(1901〜91年)の業績を振り返ってみることです。

最後にご注意を。今回ご覧いただくカタログ類はすべて過去に発行されたものであり、お探しのものが掲載されていたとしても、入手には至らないでしょう。

主な古書店(順不同):
石神井書林、港や書店、えびな書店、魚山堂、秦川堂書店、喇嘛舎
Buchhandlung Walther König(ドイツ)、Vloemans Antiquarian Books(オランダ)

「Eyes」(丸善新刊洋書案内:美術・視覚芸術/1992〜2001〔?〕)

内堀弘『石神井書林日録』(晶文社/2001)
内堀弘『ボン書店の幻 モダニズム出版社の光と影』(筑摩書房:ちくま文庫/1992-2008)
中川道弘『古書まみれ』(弓立社/1997)

「弘文荘待賈古書目 第四号」(1934)
反町茂雄篇『紙魚の昔語り 明治大正篇』(八木書店/1990)
反町茂雄篇『紙魚の昔語り 昭和篇』(八木書店/1987)

末尾ながら、近刊紹介として:
古沢和宏『痕跡本のすすめ』(太田出版/2012)


森下明彦(メディア・アーティスト/美術愛好家)
フリーで美術と映像に関する研究を続けながら、美術資料室(神戸市)の開設公開を準備中。
また、国立国際美術館客員研究員として「中之島映像劇場」という名称の映像上映会を企画。

「caper7月号」のピックアップ記事 「ビブリオテーク208.ext〜移動美術資料室がCAPにやって来る!」今年度の開催に向けて。」はこちら、全10回分の日時、テーマ一覧はこちら、C.A.P.のニュースレター、2011年「caper6月号」のピックアップ記事「Bibliotheque 208主宰、森下明彦インタビュー」はこちらです。
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