2013年6月16日

7月のcapture Y3 アトリエアーティスト;築山有城


130701capture_000.jpg

CAP STUDIO Y3では、現在12人のアーティストが日常的にアトリエでの活動を公開しています。みなさん、作品制作以外にもカフェートークやワークショップ、レクチャーなどさまざまな方法で自分の活動を紹介しています。今回のcaptureから、この紙上のスペースも使ってもらうことにしました。一人目は、アトリエアーティストのまとめ役、築山有城さんです。

130701capture_ty_live.jpg
カシューとの出会いから初ライブ(?!)へ
                             彫刻家 築山有城
STUDIO Y3のアトリエアーティストとして、木、金属、塗料など様々な素材を使った作品をつくり続けています。
数年前、塗料を積層して塗り、乾燥後に研磨するという方法で制作していた頃、以前Y3で知り合った漆の作家の方がたまたまアトリエに遊びに来られました。「今どんな作品つくってんの?」という会話から、どんどん素材や技法の話になりその時に初めて人工漆と呼ばれる油性塗料「カシュー」のことを教えていただきました。
130701capture_001.jpg
Fiction Painting 03

後日、板にこれを塗ってみたところ、「なんと扱いにくい!」第一印象は悪かったのです。妙にのびる上に臭い。

乾燥すればピッカピカに光るということを聞いていた以外は何の予備知識もありませんでした。平滑な表面を得るために乾燥後に研磨しようと考えていたのですが、乾いてみると妙なしわがいたるところにできていて、すごくおもしろかった。これをおもしろいと思ったかどうかという点がとても重要だったのではないかと思います。調べてみて分かったのですが、これは「縮緬皺(ちりめんじわ)」と呼ばれ、カシューを厚く塗りすぎることで起きる現象で、工芸の分野では初歩的なミスらしいです。
130701capture_004.jpg
timeline -orange-

本来の扱い方ではない方法で新鮮な体験を得たのち、今度はもうひとつの特性「のびる」という点に着目し、カシューを画面に垂らす行為で制作を続けました。今は、以前手に入れた手回しろくろを導入し母材を回転させながら垂らす、というふうに単純なアイデアを採用して次々に展開、実験しています。

130701capture_005.jpg
timeline -metal-

6月に、この方法で公開制作(ライブ)を行ったのですが、これもあまり考えすぎないでとにかくやってみようと思いついたことでした。ひとりでやっているのとそれを観ている人達がいるのとで何か作品の仕上がりに違いはあるのだろうか?という疑問からです。

結果は、何も変わりませんでした。カシューを垂らしている時は集中しているので、まわりは全く見えていない。当然と言えば当然なんですが、今回の経験は、線を描いたり形をつくったりすることに対して意識することと無意識でいることを考える手がかりになっていくような気がしています。

================
130701capture_tsuki_Y.jpg
築山有城(彫刻家)
1976 神戸市生まれ
2000 京都造形芸術大学芸術学部美術科彫刻コース卒業
近年のおもな個展
2011 ギャラリー島田(神戸)
2012 ひとりDrawing Exhibition(神戸アートビレッジセンター)
     TEZUKAYAMA GALLERY(大阪)
近年のおもなグループ展、アートフェアなど
2011 おとこのおくりもの展(CAP STUDIO Y3 神戸)
     帰ってきた りったいぶつぶつ展〜現代作家による立体アート〜(Bunkamura Gallery 東京)
     record of doing ニコール シュミットの仕事+築山有城 キューブ(msc GALLERY 京都)
     EMERGING DIRECTORS' ART FAIR「ULTRA 004」(SPIRAL 東京)
     Drawing Exhibition vol.02「ドローイングの距離」(CAP STUDIO Y3 神戸)
2012 ART FAIR TOKYO(東京国際フォーラム)・2013年も
     ART KYOTO(京都国際会館)
     客富良品(CAP STUDIO Y3 神戸)

website:URL
コメントしてください