2013年11月21日

12月のCAPTURE:think !

20130412kangaenaihitob.jpg

今年の春から藤本由紀夫さんを中心に何人かのアーティストが集まり、考えることをテーマにした不思議な活動が始まりました。ギャラリーでの実践「think gallery」では、作品・展示行為・展覧会、しいてはギャラリー空間について、通常の概念をいちどわきに置いて本質から考えた展示の実験を行なっています。また、CAP STUDYとして開催してる長時間のレクチャー、「thinking about」のシリーズもこの実験と連動して開講しています。実際に踏み込んで参加した人でないとなかなかわからない活動ですが、そのわかりにくさと面白さについて紹介してもらいました。

think !    藤本由紀夫(美術家)

2007年、ヴェニス・ビエンナーレのテーマは「think with senses」であった。「感覚とともに考える」ことは楽しそうである。
考えることを苦手と感じるのは、何か答えを導きださなければいけないという思い込みがあるからなのではないだろうか。「考える」という行為は、決して答えを目的としているのではなく、新たな謎を生み出すための、問題作成の行為である。アートの役目も、答えを提示するのではなく、問題を作り出すことにある。

CAPでの活動で面白いことは、いつも何か考えなければ物事が進まないということである。誰からも求められて活動しているのではなく、自分たちが興味を持ったことを、自分たちでやりたいように行っている。その行為をパブリックな環境で実践すると、毎回思いがけないつながりができて行く。この少しばかりのつながりこそが大事なのではないかと私は考えている。

1312captuer_3.jpg


考えることは、子どもの遊びに似ている。何かを作ろうとするのではなく、目的もなく、こうやったらどうなるのだろうという好奇心が優先する。だから子どもの遊びの現場は、収拾のつかないごちゃごちゃな状況となる。その混沌とした空間での子どもの表情は清々しい。何故か?考えていたからである。

CAPはここ数年、考えることを怠っているように思える。真面目に考えているのだが、考えているのは「答え」を作り出すことで、どのような「答え」を出せば良いのかばかりを考えているように私には思われる。新たな「問題」を作り出すことには消極的であり、興味もなさそうである。つまり、大人になってきたのだろう。そこで私は「考えるということを考えてみる」ことを始めることにした。子どもの遊びをお手本として。

1312captuer_2.jpg
「thinking about」はCAPの図書室で何ができるかを考えるプロジェクトであり、「think gallery」は、展示について考え、子どもが遊ぶように実験してみようというプロジェクトである。何ができるかはわからない、うまく行かないかもしれない、やってみなければわからない。でも何か考えることの気持ち良さを取り戻せるかもしれない。そして、新たなつながりが生まれるかもしれない。

現在「thinking about 1913」を展開している。丁度100年前の1913年に何が起きていたのかを考えるプログラムである。1913年を体験することはできない。でも1913年を考えることはできる。
1913年マルセル・デュシャンは「芸術作品でない作品を作ることはできるのだろうか?」と考えた。

1312capture.jpg


============
cap study 04 vol.3 thinking about 1913
2013年11月12日(火)〜12月22日(日)
■8(日)藤本ゼミ「1913」 14:00〜18:00/講師:藤本由紀夫/参加無料・予約不要

============
8〜9月のthinking about、think galleryの展示の様子はこちらからご覧いただけます。

Takahashi Satoko 03イベント
コメントしてください